ヘムライブラ使用中の血友病重症者が血友病軽症型について学び長期的出血予防について考える

ヘムライブラ使用中の血友病重症者が血友病軽症型について学び長期的出血予防について考える

血が止まりにくい疾患『 血友病A 』の重症者である3歳の息子は、定期的に薬を投与することで体を守り、幼稚園入園という大きなイベントをきっかけに、血液凝固第8因子機能代替製剤の「ヘムライブラ」という薬に変更しました。

 

ヘムライブラは、血友病重症者が使用すれば ” 血友病軽症に値する止血効果を得られる “ と言われていますが、先日診察に行った際に先生から、「これだけは注意してほしい」と血友病軽症者の出血症状についてお話がありました。

 

私はこれまで血友病重症の出血症状だけを学びそれを元に治療を行なってきましたが、今回は「血友病軽症者の出血症状」を学び、長期的な出血予防について改めて考えていきます。





血友病の重症度について改めて考える

 

血友病には重症度があり、凝固因子活性値によって重症・中等症・軽症型に分けられます。

【血友病の重症度について】の記事はこちら

 

凝固因子活性が0.3%程度の息子は重症型となり、健常者では問題のない些細な出血も止血が困難な為、薬の力無くして安全に生活を送る事が出来ません。

 

近年の血友病治療では、日常に起こる様々出血を未然に防ぐことを目的とした『 定期補充療法 』が主流となり、特に血友病重症者の若年層( 幼少期から定期補充療法を行ってきた世代 ) を中心に、「定期補充療法の導入により年間出血回数が減少している」という成果を挙げています。

 

 

定期補充療法の導入により重症型のQOL( 生活の質 )は大きく向上されてきましたが、これにより血友病の重症度別年間出血回数は、中等症>重症>軽症に変化し、『 中等症・軽症型への治療が行き届いていないのではないのか? 』という問題も問われているようです。

 

ヘムライブラ使用で重症患者が軽症患者へ?

 

現在3歳の息子は2週間間隔でヘムライブラを投与し出血予防を行なっています。

 

私の素朴な疑問として「今、息子は第8因子に換算して何%程度に値するのか?」ということを先生に伺ったところ、「ヘムライブラはあくまで第8因子代替製剤なので何%と断言することは非常に難しいが、最低10%、もしくは血友病の軽症に値すると考えた方がいいですね」と回答頂きました。

 

「血友病軽症型では出血症状がほとんどない」というイメージを持っていましたが、「長期に渡って観察していくと関節を痛めているケースがある」とのこと。それに関して、今後注意していきたい症状について先生からお話がありました。




重症と軽症の出血時に感じる症状の違い

 

重症型の特徴的な出血症状として、関節の痛み・腫れ・熱感などがあり、これらの症状には薬の投与が必須となりますが、先日伺った先生のお話では、

 

血友病軽症型によく診られる症状として
「 関節に感じる違和感や痛みは一時的なもので、数時間後や寝たら治っている 」
という症状があり、
「振り返れば同じような痛みや違和感を2週間前にも感じていた」
というケースがある

 

とのこと。それが結果的に、将来関節を痛めていることに繋がっているかもしれないというのです。

 

これまで重症型の息子を診てきた私は、「関節内出血が起きると強い痛みで足を引きずったり歩けなくなる。膝を触る程度でその後いつも通り遊んでいるようであれば問題ない」と見守ってきましたが、ヘムライブラ使用時にこの考え方では長期的な目で見ると関節にダメージを与えることに繋がってしまうのかもしれません。

 

繰り返す違和感は関節異常を知らせる大事なサイン

 

血友病軽症型に診られる上記のような点から、

 

「関節に感じる違和感( よくムズムズという表現が用いられます )は、関節で出血が起きている大事なサイン。関節での違和感を繰り返すようであれば相談するように」

 

これが今後ヘムライブラを使用していく上で大切なことであると教わりました。

 

息子はまだ幼く些細な違和感や痛みを伝えるのが困難で、遊びに夢中になってしまうと痛みすら感じないこともあるかもしれません。
最近では泣くのが嫌で痛みを我慢するようなこともあり、これではダメだと「 痛いときは痛いと言いなさい 」と伝えていますが、男の子ですから強がっていたいのでしょう。

これまでのように息子の些細な体や行動の変化』に私たちが気付くことが大切になりそうです。




重症度に関わらずこれまでの知識と経験で乗り越える

 

日本では血友病軽症型の患者数が世界に比べ少なく、それゆえ軽症型の出血の症例も少ないようで、今現在の息子の治療状況が血友病軽症者であると言える事が嬉しい反面、これからどのような出血症状が起きるのか不安でもあります。

 

 

今回の記事を書くにあたり『血友病軽症者の出血症状』と検索してみましたが細かな出血症状を知ることはできず、ヒットするのはこれまで私が重症型の息子を支えるために学んできた症状や治療法ばかりでした。

重症度別の出血回数等のデータも目にしましたが、やはりどの重症度でも関節での出血に問題を抱えており、それに対して手厚く治療を受けているのは重症型でした。

出血回数の多い重症型が治療を受けるというのは当然かもしれませんが、一方で標的関節( 関節内出血を繰り返えしたことで出血しやすい状態となってしまった関節 )になってしまってから定期補充療法を始めることの多い中等症・軽症の治療のあり方についても問題視されているようです。

 

 

治療は先生方の指示のもと行われますが、患者や家族としては血友病の基本的な症状や出血予防法などの知識をしっかりと学び、重要度に関わらず出血予防に徹することが必要ではないでしょうか?

治療によって血友病軽症に値すると言われた息子に関しても、これまで学んできた知識をもとに出血時の医師への相談や対処法( 応急処置 R・I・S・E など)、関節を守るための運動を行い、長期的な出血予防が必要だと感じています。