新型コロナウィルス(COVID-19)と我が家の血友病治療

新型コロナウィルス(COVID-19)と我が家の血友病治療

はじめに

この度の新型コロナウイルス関連肺炎で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げると共に、新型コロナウイルスにより様々な影響を受けた方々の一日も早い回復と、感染の早期終息を心よりお祈りいたします。

また、医療資源が十分でない中、未だワクチンのないウイルスと戦っておられるすべての医療従事者様に心から敬意と感謝を表します。


 

2019年12月に中国・湖北省武漢市で報告されて以来、全世界で感染拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)。日本では2019年4月16日、緊急事態宣言が全国に発令され住民への外出自粛、学校・福祉施設などの利用停止、飲食店や商業施設等の営業自粛・時間短縮など様々なところで要請や指示が出されました。

 

この新型コロナウイルスが感染拡大していく中、息子は血が止まりにくい疾患である「血友病」治療のため、定期的に病院へ通院し体を守っていますが、不特定多数の患者様が来られる病院に行くことに常に不安を抱えています。

これまでにもインフルエンザをはじめとする感染症にはマスクの着用・手洗い等、細心の注意を払って通院してきましたが、今回の新型コロナウイルスでは感染症の恐ろしさを改めて思い知らされ、病院と一生涯付き合っていく私たちにとっては人ごとではない問題も世界的に起こっています。

 

このような感染症等による治療や通院で抱える問題は今後もありえることだと考え、今回の新型コロナウイルスで私達が抱いた不安や対策を書き残しておきたいと思います。





血友病と新型コロナウイルス

 

新型コロナウイルスは感染すると約20%程度の方が重症化すると中国などから報告されており、特に高齢者や糖尿病などの持病をお持ちの方で肺炎が急速に悪化し、多くの場合、人工呼吸が必要となるようです。

 

では、持病である「血友病」とコロナウイルスの関係性はどうなのか?詳しい関係性というものは分かりませんが、血が止まりにくい疾患である血友病に直接的な影響はないと先生方から伺っています。かかりつけ病院では「2020年5月初旬現在では、新型コロナウイルスによって血友病患者様になんらかの影響があったという報告は受けていない。感染者がいたとしても血友病が原因で重症化したという報告もない」との事でした。

 

もちろん、血友病患者様で基礎疾患などをお持ちの方は細心の注意が必要なので、製剤の受け取りや通院時の対応など主治医と相談する必要があるかもしれません。

 

息子の通院治療への影響

 

息子は製剤を変更したばかりで、製剤調製や注射手技の練習の為に2週間に1回の通院治療を行なっています。そんな中、かかりつけ病院で入院中の患者様1名に新型コロナウイルスの感染が確認されました。感染が確認された患者様は感染症指定病院へ搬送、濃厚接触者へのPCR検査では全員が陰性と判定された為、感染症対策をとった通常の受診が行われています。

 

ウイルスが身近にいることを不安に感じた私達は主治医に相談し以下のような対策案が挙げられました。

 

【 診察時間を午後診療の遅めの時間に変更する 】

熱や身体の調子が悪い患者様は午前中に来院されることが多く、午後の診察では息子のように通院が必要な方の予約時間に当てられています。最終受付時間に近い時間で予約しておけば比較的空いた状態で来院できるだろうという案。

※上記は息子のかかりつけ病院での対策案です。診察時間等は病院によって異なるので必ずかかりつけ病院にてご確認下さい。

 

 

少しでもリスクを減らしたいと上記案も検討しましたが、通院治療時には「 主人が息子を抑える練習 」も兼ねており、主人が治療に参加できる午後の早い時間帯で治療することに決めました。それでも混雑している様子はなく、むしろ普段より少ないと感じるほどで、皆さん感染のリスクを避けるため必要以上の来院を自粛されているのかもしれません。

 

 

家庭輸注への移行のお願い

 

第8因子製剤で家庭輸注を行っていた息子ですが、ヘムライブラへの変更で再び通院での治療を行なっています。静脈注射よりも比較的に注射手技が簡単な皮下注射ですが、家庭輸注へ移行できない理由として「息子の注射への抵抗・恐怖心」という問題がありました。

 

注射を開始する前から暴れてしまう息子。息子を抑えている主人も毎回筋肉痛になるほどの力で、注射する側もやりにくさを感じていて「安全が確保できていない」という状況でした。

 

 

しかし、新型コロナウイルスが拡大していく中で通院に不安を抱えていたということもあり、「環境が変われば息子の注射に対する恐怖心も少しは改善されるかもしれない。一度自宅で注射してみたい。」と主治医に相談しました。

ちょうど主治医も家庭輸注への移行時期を考えていたようで「治療が難しそうであればいつでも病院に来て下さいね」と承諾して頂きましたが、こればかりはどうなるのか?正直不安もありますが、そんな不安を少し解消してくれる出来事もありました。

 

 

前回、病院で治療を行なった時の事。どのような心境の変化があったのか?恐怖心を抱えているのは伝わってくるものの、グッと我慢して治療を受けてくれたのです。主治医からも「この感じなら家庭輸注もいけそうだね」と言って頂きました。このまま皮下注射に慣れていけるようサポートしていきたいと思います。




息子の感染予防対策

 

1歳半から週2回の通院治療を始めてきた息子。「血友病以外で辛い思いをさせたくない」という想いから、病院へ行く際は必ずマスクの着用・手洗いを徹底しています。

主人が年中花粉症のためマスクを常に着用していることもあり、その様子を見ている息子も自然にマスクを着用してくれています。

治療後の会計待ちの際にはご褒美のお菓子タイムがありますが、出来るだけ手に触れず食べられるようなものを準備し、食べる前には手洗いやアルコール消毒を行なっています。

 

今回の新型コロナウイルスの流行で「みんなマスク姿」という異様な光景になりましたが、私たちにとっては普段から行なっている感染症対策でしたし、息子がマスクや手洗いに慣れていてくれて本当に良かったと感じました。

 

 

この経験を今後のために

 

「ウイルスは常に進化し続けている」と言われるように、今後も人間はウイルスと戦い共存していきます。その度に、常に病院を必要とする私たちは大きな不安や問題を抱えてしまうかもしれません。

新型コロナウイルスにより息子のかかりつけ病院が大きなダメージを受けたり、息子の治療が不自由になることはありませんでしたが、院内クラスターによって一時的に閉鎖した病院があったことも事実です。

 

今回はウイルスによる問題ですが、災害など様々な理由でかかりつけ病院が機能しないことは考えられます。不安を抱えたら事前に相談し解決策を持っておくことはとても大切なことだと改めて考えさせられました。