注射の痛みが緩和される?注射の痛みを和らげる方法をご紹介。
- 2020.03.30
- 治療・環境
血が止まりにくい疾患である血友病の治療に注射は必要不可欠です。近年では定期的に薬を投与し出血を事前に防ぐ定期補充療法が定着し、その回数には個人差がありますが週2〜3回薬を投与し大切な体を守っています。
この定期補充療法は幼少期から行われ、病院の先生→親→本人と薬の投与方法も自己注射へとステップアップしていきます。
息子も1歳半から血友病治療が始まりましたが(当時は静脈注射)、「子供は注射が苦手」ですよね。息子も治療開始当時は暴れ泣いていましたが、主治医や看護師さんに助けてもらいながら、次第に一人で座って注射を受けられるようになりました。
しかしこの度、ヘムライブラ(皮下注射)に変更してから治療の度に泣いて痛みと闘う日々が続いています。そこで「息子の注射の痛みを和らげてくれる良い方法がないのか?」と調べてみることに。
すると、毎日子供の注射と向き合っておられる小児科の先生方が子供の注射に関する工夫などを取り上げていました。そちらを参考に私たちの実体験を交えながら、現在の注射の痛みが和らぐかもしれない「痛くない注射の方法について」ご紹介していきます。
どうして注射は痛いのか?
注射と聞いて誰もが「痛いもの」と連想するのではないでしょうか。
注射の痛みは、人間の皮膚にある「痛点」を刺激することで起こり、その痛みは針の面積が狭い程感じにくいそうです。これまで注射針は何度も何度も改良され現在の細さに至るわけですが、注射針だけが痛みの原因という訳でもないようで・・・。
みなさんが連想する「注射は痛いもの」。この意識が痛みをより強く感じさせているとのこと!!
特に子供は、初めて注射を経験した時の痛みから恐怖心を強く持ち、「注射」と聞くだけで嫌な気持ちになり、さらには「病院」というワードにさえも恐怖を覚えてしまう。不安や緊張・恐怖心が注射針に神経を集中させ、痛みをより強く感じさせているのです。
最近では、「痛くない注射針」「針のない注射器」などが開発され注目を浴びています。実用化されれば注射の概念が変わることでしょう。
皮下注射と静脈注射の痛みの違い
現在の血友病治療には、血管に薬を投与する「静脈注射」と皮下に薬を投与する「皮下注射」があり、このふたつには痛みの違いがあります。
静脈注射では、針が皮膚にある痛点に触れている瞬間に痛みを感じます。皮膚に針が刺さる瞬間・針を抜く瞬間にチクリと感じ、針が皮膚に入った後、血管を探るために上手に針を動かさないとなんとも言えない痛みを感じます。
皮下注射では静脈注射同様、皮膚に針が刺さる瞬間・針を抜く瞬間にチクリと感じ、薬投与時も沁みるような痛みを感じます。予防接種をイメージして頂ければ分かりやすいでしょうか。特に、予防接種の中で最も痛いとされる「インフルエンザワクチン」がヘムライブラ投与時と近いかな?と思いますが、息子を見ているとヘムライブラはインフルエンザ以上の痛みかも?と感じます。
どちらの方法も病院から正しい注射手技を学び実践で上達させていきますが、その中でも針の抜き差しは躊躇せず思い切って行うのが痛みを軽減させる工夫のようです。
注射の痛みを和らげる方法
これからご紹介する「注射の痛みを和らげる方法」はあくまで参考程度にご覧下さい。痛みの感じ方には個人差があり、静脈注射と皮下注射でも大きな差があると思います。
実体験も含めご紹介していきたいところではありますが、すぐに全てを試すことができません。今後、息子の調子が良ければどんどん試していき、実際の感想を追記させて頂きます。
また、この「注射の痛みを和らげる方法」が決して注射の妨げにならないよう、シュミレーションを行い安全が確保されていることを必ずご確認下さい。
気を逸らす
こちらは一般的にされている工夫ではないでしょうか。子供が好きなキャラクターの人形に意識を集中させたり、好きなDVDを見せるなどして子供の意識を注射から逸らします。
実際この方法は息子にとても有効的でした。血友病治療で静脈注射を始めた頃はベッドに縛り付けられ大泣きし、自分の声で周りの声は聞こえない状態でした。しかし、ある日ふっと先生の声が聞こえたのでしょう。「息子君、見て!アンパンマンだよ!!」その瞬間、一瞬だけ鳴き声が止んでいました。しかし、すぐ我に返りまた大泣き。
なかなか注射に慣れず「今日も頑張れよ!」と気合を入れて処置室に入ったある日のこと。処置室に設置されているDVDが流れているのを見て興味津々。「DVDが観たい」と息子自ら伝え、DVDを見ながら注射をすることに。この日を境に息子が泣くことはグンと減りました。
海外にも有名な動画があります。予防接種の際、先生がボディタッチをしながら歌を歌いその流れで注射をする。結局赤ちゃんは泣いてしまうんですが、見ていても微笑ましく注射への恐怖心を一切感じさせない動画です。
局所麻酔
注射する部位に使用する「局所麻酔剤(リドカインクリーム、ペンレステープ)」や「瞬間冷却スプレー」があります。
息子も静脈注射を始めた頃にペンレステープ(途中でリドカインテープに名前が変更?されました)を使用していました。こちらは注射の30分前に注射予定部位に貼っておき注射直前に外すというもの。これを使用していた頃の息子は、私の膝の上に座って手は抑えていたもののあまり抵抗なく注射できていたように思います。
当時主人が、「本当に麻酔が効いているのか知りたい」と主治医から許可を得て一枚お試しさせてもらっていました。実際に針を刺してはいませんが、つねった感覚は多少鈍っていると言っていました。
「これをヘムライブラを打つ腕に使用してみたらどうでしょう?」と主治医に提案してみたところ、「範囲が広すぎるので効果はないかも?」とのこと。
今思えば、インフルエンザ接種の時に一度試し、痛そうだった記憶がありました^^;
ただ静脈注射時に試してみる価値はあるかと思います。「これを貼れば痛くない」という感情コントロールにも繋がるかもしれませんね。
今後試してみたい注射の痛みを和らげる方法
【 1 】あらかじめ注射部位を圧迫する
人間は単に痛みを与えられたとき、その刺激をそのまま脳に伝達します。しかし、痛みが連続した場合、引き続く痛みは脳に伝わりにくくなります。これを利用して、接種直前に注射部位に弱い圧迫を与えて注射の痛みを減らそうという試みです。これは海外でよく知られている方法のようで、「Shot blocker」「Buzzy」という疼痛(とうつう)低減目的の製品も販売されています。
主治医にも注射の際の工夫を伺ってみたところ「注射部位を軽くつねる」という方法があげられました。
【2】注射部位を冷却する(皮下注射のみ)
皮膚を冷やし感覚を鈍らせる方法です。家庭輸注であれば冷凍庫から氷を取り出しサッと出来る簡単な方法ですね。
ただし、この方法は皮下注射のみに試せるものです。静脈注射時に冷やすことは血管が収縮してしまい、逆に治療の妨げとなってしまいます。真冬の冷えた手の静脈注射が難しいのはこのせいですね。私たちも真冬の通院時は手袋を2重にしたり、待合室でも注射ギリギリまでダウンで手を包んで温めていました^^
注射の痛みを和らげる方法のまとめ
これまでの方法を見て一番現実的で試せているのは「気を逸らす方法」かなと感じました。しかし、これも難しいもので何がハマるのかは子供によって異なります。
息子の場合は「DVD」でしたが、DVDの内容も決まったものでなければ意味がありません。好きなおもちゃで遊ばせるという方法もありましたが、静脈注射では子供がじっとしていることが必須なので、おもちゃで遊びながら注射というのは実際問題難しいでしょう。
親も注射への恐怖心を持たせないように工夫するという記事も拝見しました。
「注射することを隠して病院に行く」「じっとしていれば痛くないよ」「大丈夫」などの行動や励ましの言葉は子供に嘘をついていることになるので、それが結果的に子供の注射への恐怖心を強くしている。
私は息子にしっかり注射と向き合ってもらいたいと血友病の治療を開始した頃から「今日は注射だよ」と言い伝えてきました。息子にはその方法が適していましたが、注射と聞くだけで嫌だと泣く子もいます。それでも治療へ連れていかなければなりません。子供の治療中、親は見ていることしかできませんが少しでも子供の気を落ち着かせようと様々な形で声をかけることもできます。
お子様のことを一番知っているのは親御様なのですから、子供が少しでも前向きになれるのなら少しの嘘は許されてもいいと私は思います。
しかし、子供を支える親御様も「注射の痛みを緩和させる方法がある」ということを知っているだけで注射に苦労する現状を変えるきっかけになります。実際、私はヘムライブラ投与に泣き叫ぶ息子の注射の痛みを緩和させてあげたいとこの記事を書きながら試行錯誤です。
どの子にも効く万能な方法があればいいのですが、この記事をきっかけにそれぞれに適した対処法が見つかれば嬉しいです^^
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