3歳の息子が戦うヘムライブラ皮下注射の痛みとその緩和について
- 2020.08.03
- 治療・環境
現在3歳の息子がこれまで使用してきた血友病治療薬は全部で3種類。
血友病の診断から、アディノベイト(八因子製剤)→イロクテイト(八因子製剤)→ヘムライブラ(八因子機能代換え製剤)と、それぞれ様々な理由で変更していきました。
そして、現在使用中のヘムライブラは使用を開始して半年が経ちますが、使用開始当初から問題点となっていた『痛み』との戦いが治療の度にやってきます。
これまで少しでも痛みを緩和させる方法を考えてきましたが、「痛いもの」と強く認識した息子にはなかなか対策できるものが見つかっていません。
ブログでも何度かお話していますが、ヘムライブラ皮下注射の痛みについて再び大学病院の主治医に投げかけてみましたので、その内容をお伝えしていきます。
(はじめに、「痛みを気にするなら・・・」という考え方もありますが、ヘムライブラの効果は十分に実感しており、出血のリスクを心配することなく幼稚園に預けられているということが根本にあります。「薬の効果と痛み」という親としての複雑な心境としてご理解頂ければ幸いです。)
どうしてヘムライブラは痛いのか?
痛みの感じ方には個人差があり、息子のように「痛い」と強く印象付いてしまっていると、さらに痛みを倍増させてしまう心理的な原因もあります。
逆に、痛みを我慢できる年齢になれば痛みは低減されるということですが、そもそも予防接種で使用される薬液とは異なり、投与量も多いので注入する際に圧が加わり、予防接種に比べ痛みが強くなってしまいます。
ヘムライブラと類似する薬液がインフルエンザワクチンで、むしろインフルエンザワクチンはヘムライブラより投与量が多いので、より痛みを強く感じるそうです。
ヘムライブラの大きな特徴として、「輸注方法が簡易であること」「投与回数が少ないこと」ということが挙げられますが、それと同時に痛みについても重きを置いて開発されていました。
注射に痛みは付き物ですが、恐怖心を強く持ってしまう子供にとってはやはり辛いものです。
痛くない注射針「ナノパスJr」は使用できないの?
以前、当サイトでご紹介した痛くない注射針「ナノパスJr.」をヘムライブラで使用できないのか?という質問をぶつけてみました。
回答は・・・「ナノパスJr.では針が細過ぎてヘムライブラの微粒子が通らず注射器が押せないんです」とのことでした。
このような質問をしていいのか?という気持ちもありましたが、真正面から丁寧に回答して下さり、むしろ「記録として残し今後の開発の参考にします」とおっしゃって下さいました。
普段、「知識の無い私がこんな質問してもなぁ」と考えてしまう場面もありますが、知識のある先生方はしっかりと回答を持ち応えて下さるので、どんな質問でもしてみるべきだなと改めて感じました。
結局痛みは緩和できないのか?
結論としては「今は耐えるしかない」ということで、それは私たちも十分に理解していることでした。
これまで、注射の痛みについて私たちなりに調べてきましたが、同じ年齢でも頑張って治療を受けている子がいれば、さらに年齢が上がれば静脈注射より楽だという方もいらっしゃるそうです。
つまり、息子の注射に対する恐怖心や向き合う気持ちが重要であり、それをどう乗り越えていくのか?しっかり向き合えるタイミングやきっかけが必要だということです。
現在、息子は家族3人で通院して治療を受けています。
主人が息子を固定し私が注射する・・・「自宅でできるじゃん」なんですが、一度自宅で行なった際、本性を現したように「嫌だー!病院で注射するー!」と家中を逃げ回っていました。
輸注の日は、毎回幼稚園をお休みし主人には仕事を抜けて来てもらっているので自宅で治療したいのが本心ですが、息子は病院の方が注射への覚悟が決まりやすいようで、先生も「本人がそうしたいなら暫くはその方がいい。自宅で親が形相を変えて無理やりやる方が可哀想だよね」と息子のペースに合わせようと話をして来ました。
今は特に辛い思いをさせていますが、本人がしっかりと治療や痛みと向き合えるまで私たちがサポートしていこうと改めて覚悟しました。
今後販売される新薬について
注射の痛みについて相談した際、現在開発中の新薬について少し教えて頂きました。
参考程度に教えて頂いただけなので詳しくはお伝えできませんが、「週一回投与の第八因子製剤が大人で治験開始」「ヘムライブラの後発薬・月一回で薬液も少量のものが近々大人で治験開始」と血友病治療薬の開発は本当に目まぐるしいようです。
これだけ薬があると製剤の選択が本当に難しいですが、悩んだときはまず医師に相談して一つ一つ問題を解決していきたいですね。
製剤の選択方法は人それぞれで、私たちの様に幼稚園入園などの環境の変化で変える人がいれば、自分の体に慣れた製剤を使用したいと長く同じ製剤を使用する方もいらっしゃいます。
製剤を変更する際には大きな不安が付き物ですが、変更したい理由が必ずあるはずです。私たちもヘムライブラに変更する際はかなり悩みましたが、納得するまで先生と話し合い最終結論は自分たちで出しました。
今回の先生との話し合いもそうですが、少し恥ずかしいなと思うことでもストレートに自分の気持ちをぶつけることは、自分の治療環境を良くすることへ繋がると思います。
何でも相談し向き合える先生との関係を息子にも築いてもらいたいですね。
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