現在使用している血友病製剤の見直し。より自分にあった血液製剤を見つけよう。

現在使用している血友病製剤の見直し。より自分にあった血液製剤を見つけよう。

 

血友病と診断されて半年が経ちました。
ここまでインヒビターの検出はなく、大きな出血もすることなく元気に過ごすことができました。【インヒビターについて詳しくまとめた記事はこちら】

そして先日、製剤の回収率半減期を検査しました。
その結果、製剤の変更が望ましいのではないかという判断に至りましたので、その内容を記載させていただきます。

まだ治療を始めたばかりの幼い子どもの製剤変更はよくあることなので、こうゆうこともあるのだと参考にしていただければ幸いです。




息子の回収率と半減期

 

定期輸注をしていく上で大切になるのが、製剤の回収率半減期を知ることです。

回収率とは・・・製剤を100投与してそのうちの何%が体に入るのか。
半減期とは・・・製剤の効果が減るスピード

これには同じ製剤でも個人差があります。
また、子どもの運動量を制御する立場の親としてもとても大切な情報です。

検査方法としては、輸注前と輸注30分後・24時間後に採血し値を調べます。

↓理想的な値がこちらです↓

・回収率:70〜80%

・半減期:子どもの場合12時間

・そして製剤の最低値(トラフ値)3〜5%を目指します。

↓今回の息子の検査結果がこちらです↓

・輸注30分後の活性値(ピーク値):78%

・輸注24時間後の活性値:11%

実は半年前のピーク値(最高値)は30%ととても低かったのですが、これが大幅に上がり主治医もビックリ。
回収率はクリアできたのですが、問題は半減期が短いことでした。

もともと子どもは大人に比べ半減期が短く理想値は12時間なのですが、息子の場合8時間という結果でした。

現在週2回の輸注なので48時間後に3〜5%をキープしておきたいところですが、78%を24時間で11%まで減少しているわけですから48時間後はゼロですよね。

これは製剤の投与量を増やせば改善されるのではなく、そもそも体重等の関係で投与量は増やせませんし、増やしたところで減るスピードは変わりません。
正直、現在の血友病治療で多く使用されている、製剤の効果を長くした【半減期延長型血液製剤】の恩恵を受けられていないという状況です。

以上の点から、製剤の変更が望ましいと判断されました。

 

次に選ぶ製剤は?

 

現在多く販売されている製剤の中から、次にどの製剤を選択するのか。
主治医に提案していただいたのは以下の2つでした。

【1】従来型(標準型)血液製剤

血友病の治療薬が開発されてから古く使用されてきた薬です。
一般的に週3回治療を行います。

【メリット】

・輸注の回数が多いため、薬の効果を得られる日が増える。

【デメリット】

・注射の回数が増えるため、血管が傷ついてしまう可能性出てくる。
・通院が週3回になり、体力的に負担がかかる。

【2】半減期延長型血液製剤

近年新しく開発された薬で、従来型血液製剤の半減期を長くしたものです。
一般的に週2回治療を行います。

【メリット】

・輸注回数が減るため、体力的・身体的な負担が軽減される

【デメリット】

・現在使用している製剤も半減期延長型血液製剤です。
デメリットという程のものはありませんが、同じ半減期型での製剤変更でどのような効果が得られるのでしょうか。

 

私たちの製剤の選択

 

製剤変更の話を主人と相談し合いました。

結論としては「半減期延長型血液製剤」を選択したいと考えます。

従来型は、輸注の回数が増えるので安全な日が増え安心して生活を送れますが、それ以上に息子の血管が心配です
今でさえ、「血管が少し腫れているから注射する位置変えないとね」なんて言いながら治療しているのに、週3回で息子の血管が持つのでしょうか。

また週に何回も病院に通うことは私にとって大変なことではありませんが、余裕を持って生活できないのも事実です。

まだしばらくは常に私が側にいて危険から守ってあげることもできますし、息子の体への負担を第一に考えてあげたいと思います。

 

製剤変更で不安に思うこと

 

このお話を提案して頂いた時、半年間何事もなく安心して使用してきた製剤を変更することに不安を覚えましたが、主治医からの「製剤を変えるではなく、より息子さんにあった製剤を探しましょう。」という言葉に不安な思いは取り除かれました。

また、製剤変更にあたり一番懸念したのがインヒビターについてです。
製剤変更でまた一からインヒビターの心配をするのかと不安に思っていたのですが、長く治療をしている患者さまは製剤の変更でインヒビターの発生率が上がるようなことはないとされているようです。

現在息子で50回ほど治療を行っていて、インヒビターの心配はないだろうと言われていますが、製剤を変更してもこの状況は変わらないだろうとのことでした。

もちろん100%ではありませんが、多少でも安心して製剤変更に取り組めますね。

 

どのタイミングで製剤変更するの?

 

正直、製剤の準備さえできればいつでもいいと言われています。

しかし、焦ってすることでもありません。

私たちが半減期型を選択したいことは主治医には伝えてありますが、主治医も血友病に特化している奈良県立医科大学付属病院とディスカッションして下さっている状況です。

私たちも年明けに奈良医大での診察が入っているのでそこで直接お話を聞き、それから製剤変更していくかたちになると思います。

治療法としては何も変わりませんし、変更した製剤で息子がのびのびと遊べる日が増えることを願って、前向きに取り組んでいきたいと思います。