4歳になる息子。血友病と向き合って2年半を振り返ります。
- 2020.10.19
- その他

まもなく4歳になる息子。血友病と向き合って2年半の月日が経ちました。
血友病と診断されたのは怪我の心配ばかりで目の離せなかった1歳半頃でしたが、今では親と少し離れ集団生活を行う幼稚園児に成長しました。
当サイトも作成から2年が経ち、振り返るとこの2年間でいろんな経験や変化があったな、としみじみしています。
日々進歩する血友病治療の中で、私たちの血友病生活にどんな変化があったのか振り返ってみたいと思います。
血友病治療の経験と変化
8ヶ月頃から痣が多くみられ息子の体の異変に気付きながらも、駆けつけた個人医院で「男の子だからこんなもの」と言われた言葉を鵜呑みにし過ごしていましたが、市で行われた1歳半検診時に虐待を疑われながら検査を勧められ、現在のかかりつけ病院で血友病の診断を受けました。
血友病検査の採血後、止血が甘く腕がパンパンに腫れ上がり即入院。その時から息子の血友病治療が始まりました。
主治医は血友病専門知識を持っておられ大学病院との繋がりも深かったため、治療薬の調達や治療方針が確定するのに時間はかかりませんでした。
当時は「血友病を理解するのがやっとで治療の判断は主治医に任せていた」というのが正直な所でしたが、いろんな感情がある中でスムーズに治療が行えたのも主治医のおかげだと今でも感謝しています。
治療薬の変化
この2年半で使用した血友病治療薬は3種類。
アディノベイト(半減期延長型第八因子製剤)→ イロクテイト(半減期延長型第八因子製剤)→ ヘムライブラ(第八因子機能代替製剤)
現在、血友病治療薬は先生方でさえもどれを選択するのが正しいのか悩んでしまうほど種類が多く、素人の私たちにとって製剤変更はとても大きな不安を抱えるものでした。
それでも「少しでも息子の体を守りたい」という一心で主治医や家族との相談を何度も繰り返し、製剤を決定してきました。
治療と向き合う息子の変化
息子は血友病治療において「静脈注射」と「皮下注射」の両方を経験しています。
血友病診断当初から静脈注射をスタートさせ、2歳10ヶ月の頃に家庭輸注へと移行しました。それから幼稚園入園を目前に皮下注射に変わったのですが、これまで平気だった注射が一変。ただ痛いだけの注射に変わってしまいました。
慣れるのにも時間がかかり、皮下注射に変更したことを後悔しそうになりましたが「注射に対する息子の覚悟」を大切にし治療に励んでいます。
注射は苦手になってしまいましたが、血友病診断当初からずっと変わらないこと。それは病院に行くのを全く嫌がらないことでした。
病院と聞くだけで嫌な気持ちになってしまいますが、息子は自ら歩き走り回り楽しそうにしています。その背景には主治医・看護師・受付にいる皆さんの支えがあり、息子にとって病院は知り合いだらけになっていたのです。
それから病院の自動販売機や売店。これは子供にとっても魅力的なもので、私も子供の頃「病院に行けば売店に行ける」と治療より売店を楽しみにしていました。
「病院が苦痛にならないように」というのは通院当初から気を使っていたことでしたが、息子がそれに当てはまってくれて本当に助かっています。
生活の変化
私たちの生活は、薬の効果や投与回数、通院の頻度や家庭輸注への移行など、治療方針に応じて変化していきました。
薬の効果が2〜3日で減っていく半減期延長型製剤使用時には常に製剤の活性値が頭にあり、それによって活動を控えていました。家庭輸注が始まる前は、予備輸注で救急外来を予約したり、すべての日程を治療に合わせていました。
また、1歳半〜3歳頃まではヘッドギアや保護帽子インナーを使用しながら万が一の出血に備え、「今日も無事で良かった」と息子が眠りにつくまで緊張の糸が途切れないこともありました。
それが4歳目前の今、幼稚園では出血対策に励むものの、家族での活動では出血対策を何もしていません。
「何もしていない」と言うと誤解を招きそうですが、これも経験からなるものでしょうか。「出血時の対応を知っている」と言うのが我々にとって大きなお守りとなっています。
「息子を守る」と言う反射的なものはこれまでの経験により当たり前に頭にある状態で、「守れなかった時のもしものシュミレーション」というのもおかしな話ですがしてしまっているのです。
何よりも息子の成長があってこそですが、この2年半でも随分気が楽になったというのは事実かもしれません。
ブログの変化
当サイトの開設当初は、私たちの経験談や血友病に関して得た情報を発信してきましたが、様々な経験を重ねいろんな感情を持つ中で「私たちがしたい事・できる事」というのを考えるようになりました。
そんな中で実現したのが、
緊急時・災害時に病気のことを知らせるオリジナルグッズ『命を守るラバーバンド』
血友病と向き合うことは辛いことばかりではなく、血友病だからこそ経験できた我が家の体験談をポップ表現した『オリジナル4コマ漫画』
サイトを始めた頃は自分たちがこんな事をするなんて思ってもみませんでしたが、どちらも多くの方から応援頂き、皆様から頂く暖かいお言葉に強く支えられています。
「これから先、私たちに何が出来るのか?」自分たちにも分かりませんが、血友病と向き合い息子を守っていく中で経験し学んでいく事を何らかの形にしていけたらと考えています。
成長していく息子への想い
まもなく4歳の息子ですが、日々成長していく息子の姿をみていると反抗期や親離れしていく日の事を考えてしまいます。
これまで当サイトを通してたくさんの血友病に関わる方と交流させて頂き、それぞれ異なる治療環境から溢れる皆様の想いには強く共感し胸を打たれ学ぶことばかりでした。
そんな中でも、成人された血友病患者様の言葉は重く、息子と重ねて考えてしまいます。
「子供の頃の注射の記憶」や「大人になっても輸注日が憂鬱」だったり、やはり病気と一生向き合う事はそんな簡単なことではないと痛感してしまいます。
息子の血友病生活は比較的平凡なもので非常に恵まれた環境にあるように感じますが、それでもこれから本人が抱えるものの重さは私たちには計り知れません。
今は親の言うままに治療させられている状態ですが、自己輸注や病気と本気で向き合った時が本人にとって本当の血友病治療のスタートになるのでしょうか?
「男の子ならではの思春期・反抗期が私たち親にとって大きな山場」と今から覚悟していますが、そんな時にこそ「嫌でも頑張ってきた幼少期があることを忘れないでいて欲しい」と望んだりもしています。
・・・なんて事を考えていてもまだまだ先の話。恐らく一生子供扱いして育てていきますが、息子の身体を守る事を一番に、いつでも支え合える家族を築けるよう母親として頑張って行きます。
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