『鼻血のメカニズム』今と昔は違う?鼻血の適切な止血法を学び出血に備えよう
- 2021.01.18
- 治療・環境
血友病を患うお子様の親御様が『鼻血』について悩まれている記事をよく目にします。
「一時的な止血は出来たが、短期間で鼻出血が見られる」
「トラネキサム酸で対処しているがこれでいいのか?」
「製剤を投与した方がいいのか?」
血友病の出血症状でも代表的な『鼻血』ですが、関節内出血や頭部打撲のように「出血したらすぐ製剤投与」という対応ではなく「圧迫止血」が主な止血方法の為か、長引く鼻血に頭を悩ませている親御様が多い印象です。
現在4歳の長男も血友病A重症を患っていますが、実は息子はまだ鼻血を経験したことがありません。
血友病と診断され勉強していく中で「近い将来、鼻血とも付き合っていくんだろうな」と覚悟していましたがその日はまだ訪れておらず、しかしながら『鼻血』で悩まれている親御様の記事を拝見していると、その対応の難しさをひしひしと感じ、今回、鼻血について学んでみることにしました。
血友病でない方にもご覧頂けるよう、「鼻血がどうして起こるのか」「鼻血の対処法について」など、私なりではありますが調べまとめてみましたので、多くの方の参考になれば幸いです。
鼻血のメカニズム
鼻血の多くは、鼻の入り口から1〜1.5cm程度の所にある「キーゼルバッハ部位」から出血していて、この部位は毛細血管が集中している上に表面の粘膜も非常に薄く、ここが傷付くことで出血が起こります。
鼻血は誰にでも起こる出血のため、数十分で止血できるものであれば問題ないとされていますが、息子が抱える血友病のように何かしらの病気が隠れている可能性もあるので、止血が困難であったり、何度も鼻血を繰り返す際には病院での受診が必要となる場合もあります。
また鼻血の原因も様々で、大人と子供によってもその原因は異なってくるようです。
鼻血の原因
鼻血は誰にでも起こる出血ですが、主に10代以下と60代以上に多い傾向があり、その原因も異なるようです。
子供の鼻血の原因
- 鼻炎や湿疹
- 鼻をいじる癖
- 鼻を強くかんでしまう
- 転倒や衝突による外傷
- 熱や夏場ののぼせ など
子供の鼻血の原因の多くは季節を問わず年中起こるもので、粘膜が弱ることで出血が見られるようです。
大人の鼻血の原因
- 鼻炎や外傷
- 冬場の乾燥
- 高血圧
- 糖尿病
- 肝臓の病気
- 治療に使用される薬の内服(ワルファリン・アスピリン) など
大人の鼻血は子供と異なり、乾燥の気になる冬場や気温変化の大きい季節の変わり目に起こりやすいようです。
子供同様、鼻の粘膜が弱ることで出血を引き起こしますが、高血圧や動脈硬化によって血管がもろくなっている人は、血圧上昇の要因となる緊張や興奮・のぼせや飲酒などには注意が必要で、このような場合、鼻の奥から出血が見られるようですが、鼻の奥には太い動脈が走ってるため大量出血の可能性もあります。
鼻血の注意したい症状
【鼻血で注意したい出血症状】
- 洗面器がいっぱいになる程の出血量がある
- 30分以上止まらない
- すぐに止まるが、数時間・数日後に何度も繰り返し出血する
鼻血は出血量と時間、頻度に注意が必要です。
止血しているにも関わらず、大量に出血したり長時間止まらない場合は、動脈からの出血の可能性が高いため専門的な治療が必要となります。
また、何度も出血を繰り返す場合は、体が血の止まりにくい状態にあったり鼻の中にできもの(腫瘍)ができている可能性があるため耳鼻咽喉科を受診してみたほうがいいようです。
鼻血の処置法
突然起こる鼻血には本当に焦ってしまいますが、適切な応急処置を行うことが最も重要とされています。
下記の処置を行い、経過観察していきましょう。
- 【気持ちを落ち着かせる】
焦ったり気持ちが動揺してしまうと血圧が上がり、逆に血が止まりにくい状態となってしまいます。まずは深呼吸などで気持ちを落ち着かせましょう。 - 【少し下を向き鼻を抑える】
基本的には鼻の中に何も入れず、少しうつむいた状態で小鼻(鼻の柔らかい部分)をまずは5〜10分間しっかりとおさえます。
鼻にティッシュや脱脂綿などを詰める際は奥までしっかり詰め、引き抜く際には粘膜を傷つけないようゆっくりと引き抜きましょう。(*1) - 【出来るだけ座った姿勢で止血する】
「座った姿勢」これが鼻血を止血する際の基本姿勢となるようです。ただ、寝転んだ方が気持ちが落ち着くという場合は、枕などで高さを作り、決して仰向けにはならず横向きの状態になりましょう。
(*1)鼻にティッシュや脱脂綿を詰める事は「パッキング」として医師も行うため問題ありませんが、取り除く際にその一部が鼻の中に残ってしまうと感染症の原因となることもあるようです。大人であれば違和感に気づけますが、子供に詰め物をする際は慎重に丁寧に行うことが大切だそうです。
応急処置の際にやってはいけない事
昔聞いたことのある鼻血の処置法。実はその中には止血への逆効果となるものが含まれています。間違った知識を持っていないか、今一度確認してみて下さい。
- 【止血の際には上を向かない】
鼻血が垂れてくるからと上を向いてしまうと、血液が喉に流れ込み気持ち悪くなり嘔吐の原因となってしまいます。 - 【うなじを叩かない】
これも昔の鼻血止血法でしょうか。この方法は全く役に立たないそうです。上記同様、血液が喉に流れ込んでしまう原因となってしまので決して行ってはいけません。 - 【運動・入浴・飲酒は控える】
鼻血が止まった後、体温が上がり血行が良くなると再び出血しやすい状態となってしまいます。鼻血の後は出来るだけ運動・入浴を控えた方が良いようです。アルコールについても、血管が拡張されるため出血につながる場合があります。
止血の際に冷やすのはいいの?
血友病の止血法でも「冷却」は基本となっていますが、鼻血に関しても冷やすことは止血に繋がるのでしょうか?
調べていくと、「冷やすと止血を早め助けてくれる」「眉間・おでこから鼻にかけて冷やすと良い」と冷やすことを勧めている一方、「冷やすと血液の凝固機能が低下してしまうのでオススメしない」という内容のものもありました。
鼻血の処置法として「冷やす」という処置を挙げていない記事も多かったので、まずは通常の圧迫止血が基本となるのかもしれません。
鼻血の予防対策も
鼻血の後は出来るだけ安静にし、鼻を触ったり刺激物の摂取は避けた方が良いようです。病院や自宅での処置で、鼻に綿やタンポンなどの詰め物がある場合は洗顔も避けましょう。
また日常生活においては、風邪や鼻炎の際に鼻を強くかまない事、乾燥を感じる際には鼻の入口にワセリンを塗ったりマスクをするなどして乾燥対策を行えば炎症のリスクを低減できます。
血友病と鼻血について
血友病を抱える方の鼻血の対処法について調べてみましたが、上記同様、基本は『圧迫止血』でした。
しかし、「何度も出血を繰り返し鼻粘膜が傷んでいる場合、上記の止血法の効果は薄れる」とも書かれており、その場合は、ワセリンやトロンビン細粒(病院処方)をつけた小さな綿球を小鼻が膨らむまで十分に詰め、数時間たってから綿球を取り除くそうです。それでも出血がある場合は病院へ連絡するとのことでした。
基本的に鼻血で製剤を投与する事はないようですが、やはり止血が困難な場合は製剤を使用したり耳鼻科の処置が必要となるようです。
また、血友病での鼻血の対処法でよく聞く『トランサミン(トラネキサム酸)』も鼻血に有効で、鼻血が見られた時には主治医にいくつか処方してもらっておくと役立つそうです。
トランサミン(トラネキサム酸)とは?
アミノ酸の一種で、抗炎症・抗アレルギー効果や止血効果を持つ内服薬です。湿疹や蕁麻疹の治療・出血を止める目的で長く医療の現場で使用されています。
不安に感じたらすぐに受診を
鼻血が「誰にでも起こる出血」だったとしても、突然体から血が流れると非常に不安になります。
「怖いな・これで大丈夫かな」と不安に感じたら、まずは病院に相談してみましょう。
私自身も鼻血を経験したことがなく、もし今息子が鼻血を出したら・・・間違いなくプチパニックを起こします^^;
今回、鼻血について学んだことである程度の知識を身に付ける事は出来ましたが、実際経験する事で不安や疑問は必ず出てくると思います。その時はまず主治医に相談して的確な処置を行っていきたいです。
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