【血友病】どの程度の出血・打撲で病院へ行く?家庭輸注・自己注射ができるまでの出血時補充の判断の仕方。

【血友病】どの程度の出血・打撲で病院へ行く?家庭輸注・自己注射ができるまでの出血時補充の判断の仕方。

血友病の治療において大切なことは「出血をしたらまず輸注すること」です。

家庭輸注・自己注射ができるようになると迅速に輸注することができますが、まだ子どもの血管が細く親に注射技術がない場合、かかりつけの病院や近隣の病院まで足を運び治療してもらう必要があります。

本人が痛みを訴えたり見た目に異常があるなど、明らかに重症となるような出血をした場合はすぐに病院へ駆け込むという判断ができますが、まだ自身の異常を的確に訴えることのできない乳幼児の場合、親が状況判断しなくてはなりません。

しかし時にはその判断に迷ってしまうこともあります。

どのような対応をしていけば良いのか、私たちの経験を交えながら一緒に考えていきましょう。




はじめに

 

今回お話する内容はあくまで私たちの経験からお伝えできることであり、製剤の効果や症状は患者さまによって異なります。

まずは血友病患者さまの治療状況をしっかり把握すること、主治医の治療方針に沿って出血時の治療の判断を行ってください。

 

血友病治療における輸注以外の処置方法

 

血友病の治療で出血時に一番大切なことは「迅速に輸注を行うこと」です。
しかし、家庭輸注・自己注射ができない場合は輸注をするまでに時間がかかってしまいますよね。

実は輸注以外にも【RICE】と呼ばれる応急処置の方法があります。

注射以外の応急処置【RICE】
(Rest)安静
→関節がムズムズするなど体に違和感を感じた際は無理をせず安静にしましょう
(Ice)冷却
→出血した部分を冷却することで血管を収縮させ止血を促します。
(Compression)圧迫止血
→表面の出血の際には傷口を清潔にし、清潔なガーゼを当て上から押さえます。
→関節に出血を感じた際は、圧迫・固定用のサポーターを使用するのもいいと思います。
(Elevation)挙足
→出血部位を心臓よりも高く上げることで血が流れにくくなり出血が早く止まります。

上記の内容ならまだ注射のできない子どもでも簡単ですね。
実際に我が家でもタンコブができた際に冷却を行いましたが、1時間後にはどこを打ったのか分からない程に落ち着いていました。

少しでも出血を抑えるために覚えておきたい大切なポイントですね。

 

頭部打撲の際の症状と状況判断

 

「定期輸注をしていればある程度の衝撃は健常者と変わらず過ごせる」と言われますが、頭部打撲の場合は軽い衝撃でも不安になりませんか?

どの程度で輸注を行えばいいのか、頭部打撲に見られる症状を確認していきましょう。

 

頭部打撲の症状と受診の目安

 

頭部を打った場合、一番懸念されるのが頭蓋内出血です。

頭部打撲の厄介なところは、打ったその瞬間や数時間後に症状がなくても打撲の2〜3日後に症状が出てくることです。

特に体の異常を正確に伝えられない乳幼児の場合は判断が難しいので、頭部を打った際は打撲後の様子をしっかりと見極めていくことが大切になります。

⑴危険な状態!すぐ病院へ

【意識がない・ぐったりしている・痙攣を起こしている・嘔吐・ひどい出血】
これは健常者でも迅速な対応を必要とする状況です。
その場で治療可能であれば輸注を行い、すぐに病院へ向かいましょう。

⑵打撲時には特に目立った異常が見られない場合

「打撲直後に大声で泣き、その後機嫌がよければ大丈夫」と耳にしたことがありませんか。
血友病患者さまも製剤の効果を得て、打撲後に異常が見られなければ大丈夫かもしれません。

しかし健常者との違いは微量の出血を止められないこと。
その微量の出血は頭の中で少しずつ広がっていくのです。

出血後、約8時間は慎重に様子を見ておく必要があります。

【いつもよりよく愚図る・食欲がない・熱っぽい・元気がない】
これらの症状が見られた場合はすぐに受診しましょう。

先ほど約8時間とお伝えしましたが、2、3日後に症状が見られることもあります。
頭部打撲に限らず「普段と違うな」と感じた際は受診し相談しましょう。



また打撲当時の様子を確認することも大切です。

【頭部打撲の際の確認事項】
・どこを(頭,顔,胸,など体の部位)
・どこで(コンクリート,フローリングなど打ったものの材質)
・どのように(勢いやその時の状況)

これらは出血の程度を示す大切な情報となり、時には医師の判断でCTなどの詳しい検査をする場合もあります。

また頭部・胸部打撲で不安に感じた際は一人で悩まず、かかりつけの病院や小児相談ダイヤルに相談してみるのもいいと思います。

「不安に思ったら輸注する」これも血友病治療の大切なことです。

さて、ここで病院へ相談しようと言いましたが、ここでも更に選択を強いられます。

次は病院へ相談した際の様子を私たちの経験をもとに紹介していきます。

 

病院の対応と親の不安

 

「相談する」ということは「輸注をするべきなのか迷っている」ということですよね。

私たちも何度も相談の電話をしたことがありますが、そこでの返答は『心配だったら来て下さい』という言葉です。

もちろん「大丈夫なので自宅安静して下さい」なんて言葉を病院側から言うことなんてできませんから当然の対応です。

しかし相談しているこちらからすれば「はっきりした判断を頂きたい^^;」ところなのです。

では私たちがどのような場面で治療の判断に迷ったのかお話ししていきます。

 

輸注するべき?自宅で様子を見る?治療の判断に迷ってしまった瞬間

 

現在使用中の血液製剤は輸注の24時間後には活性値が11%まで減少している状態のため、輸注の24時間後に頭部を打った際は心配し不安に思います。

これが屋外だった場合、コンクリートや砂利道・遊具で強打した際は迷わず病院へ駆け込みますが、自宅だった場合に輸注の判断を迷ってしまうのです。

特に自宅のフローリングは多少のクッション性がある上に薄手のプレイマットを引いています。

『頭蓋内出血を起こすような衝撃ではなさそうだが、明らかに頭を打った』

この状況に判断を迷ってしまうのです。

更に悩むのが夜だった場合。
本人はもうおネム。無理に起こされ注射されて・・・そう考えると自宅で様子を見てもいいのかなぁと考えてしまいます。

しかし相談した病院からは「心配ならおいで」と言われる。
心配だから相談してるんですけど・・・行くしかありませんよね^^;

そうなのです。相談の電話をした際はほとんど受診し輸注をしています。

まだまだ経験の浅い私にはその判断はとても難しいのです。

もしかしたら自宅で様子を見ても大丈夫だったかもしれない。
明日の朝に受診すれば良かったのかもしれない。

しかしそれよりも、「輸注のタイミングが遅れてしまった」となってしまう方が私には恐ろしいのです。

先ほどもお伝えしたように「迷ったら輸注する」という判断に間違いはないのかなと感じます。

まとめ

 

乳幼児との遊びの中で危険だと感じると、「ダメ!」と止めてしまいがちですが、身をもって危険を感じる事も大切なことです。

しっかり見守ってフォローし、万が一に備えて知識を持っていれば迅速な対応が出来ると考えます。

また今回お話しさせて頂いたような「治療の判断に迷ってしまった」際に強く思うことは、
『自分に注射技術があれば、病院へ行くことも悩まなくて済むなぁ』です。

注射をするのはとても怖く不安でしかありませんが、一番近くで守ってあげられるのは私たち親です。
私も今後の大きな課題の一つですので、一緒に頑張っていきましょう!