血友病とは?正しい知識で血友病を知ろう。

血友病とは?正しい知識で血友病を知ろう。

血友病とは、血を固める働きをする凝固因子が生まれつき不足している為、一度出血すると 血が止まりにくい病気です。

難病に指定されており、昔は寿命が11歳と言われていた病気でしたが医療の著しい発展により、現在は適切な治療を受けていれば健常者と変わらない生活を送ることができると言われています。

 

しかし、正しい知識を持たず薬だけに頼っていると関節障害を起こしてしまったり、命に関わる大変な事態を起こしてしまう恐ろしい病気です。

適切な治療を受けるために正しい知識を持ち、できるだけ不自由のない生活を送れるよう一緒に勉強していきましょう。




血友病とは

 

血友病とは、血を固める働きをする凝固因子が生まれつき不足している為、一度出血すると血が止まりにくい病気です。軽度の打撲でアザができ、その症状は乳幼児期からみられます。

日本では約6000人の患者数といわれ、血友病患者さまの大半が男性です。血友病は欠乏している凝固因子が異なることからA・Bの2つに分けられます。

 

【血友病A】 第8因子と呼ばれる凝固因子が不足・欠乏(約5000人)
【血友病B】 第9因子と呼ばれる凝固因子が不足・欠乏(約1000人)

 

また血友病は程度が異なり以下のように分けられます。

 

重症度

 

一般的な値は50%~100%とされています。

活性値が1%あれば関節内出血を防ぐことができるので、軽度・中度の患者さまは病気に気付きにくく、日常生活も健常者と変わらず送ることができるでしょう。

しかし、強い衝撃を受けることや手術の際には注意が必要です。

重症の患者さまは適切な治療と激しい運動は避けるなど生活を制限することが必要となります。

息子は凝固因子の活性値が0.3%未満なので重症患者となります。

 

出血を止める体の仕組み

 

まずは血を止める正常な体の仕組みを学んでいきましょう。

 

【正常な止血の働き】
(1) 血管を収縮させて出血量を抑える
(2) 血小板が集まり、傷穴に蓋をする
(3) 凝固因子が働き、傷穴をより強固にする

 

血友病の場合、(1)(2)までは正常な働きを行うので、擦り傷などの表面上の軽い出血は圧迫止血などで対応すればそれほど心配する必要はありません。

しかし(3)の凝固因子が機能しないため傷穴を強固にすることが難しく、血小板の蓋を血が押し破って出血が続いてしまいます。

その為、血管を傷つける出血や筋肉内、特に頭蓋内・内臓出血は命に関わる出血となるので迅速な処置が必要になります。

 

では、体のどの部分で出血が起こり得るのか見ていきましょう。



出血部位と危険度

 

皮下出血

皮膚の下の皮下組織で起こる出血で、主に打撲が原因です。症状としては青あざが見られこぶができたように皮膚が盛り上がります。
痛みは比較的軽く、時間はかかりますが自然に治ります。

 

筋肉内出血

筋肉の中で起こる出血で、打撲・激しい運動や無理な姿勢が原因で血管や神経を圧迫してしまうと後遺症を残してしまう場合があり、大きな筋肉では大量出血してしまうこともあります。

通常予防接種は皮下注射で圧迫止血すれば問題のない治療行為ですが、息子は針が筋肉に達し筋肉内出血を起こし脇下・背中まで腫れ上がってしまった経験があります。
(その時の様子についてはこちらをご覧ください→血友病と予防接種の関係性について)

 

関節内出血

血友病の出血症状の中で最も多い症状で、関節内出血を繰り返すと慢性的な関節障害をきたしてしまいます。
肩・肘・足首・膝・股関節に、違和感・痛み・腫れ・熱感の症状が見られます。

関節内出血は関節への強い衝撃はもちろん自然出血と呼ばれる出血が原因で、この自然出血は健常者さまも何気ない生活の中で自然に起こる出血です。

出血の量としては少量ですが、血友病重症患者さまの場合この少量の出血が止められず非常に強い痛みを伴ってしまいます。
そしてこれを繰り返すことにより関節障害を起こし生活に支障をきたしてしまいます。

関節障害は繰り返し起こしてしまうと完治するのが難しくなる為、血友病治療はこの関節障害を起こさないようにすることを重要視して治療を行なっていきます。

 

命に関わる注意したい部位

頭蓋内出血(脳出血)

頭部を打つことが主な原因で、頭痛・嘔吐・発熱・意識障害などの症状が見られます。
これらの症状は頭部を打った直後だけではなく数日後に出ることもあり、身体の変化に気づけず治療が遅れてしまうと命に関わったり後遺症が残ってしまう恐れがあるため、迅速な対応が必要になります。

特に幼児期は歩行が不安定であったり、危険察知能力が低く頭部を打ってしまうことが多々ある上に、痛みや身体の変化を正確に伝えることができません。
日頃から保護帽子を着用するなどして事前に守ることも大切です。
また頭部打撲にも強さや場所が異なり治療の判断を迷ってしまうことがありますが不安に思ったらすぐに輸注することが鉄則となります。

 

消化器官・腎臓

消化器官(胃・腸)からの出血は吐いたものや便に血が混ざります。
短時間に大量出血することもあるので迅速な対応が必要となります。

腎臓からの出血は腰部打撲・結石が原因とされますが原因不明のものも多くあります。
血尿・腹痛・腰痛の症状がみられ、軽度の場合は安静と水分補給で改善されることも多いです。

 

頸部・気道出血

喉周り、喉の奥の腫れがみられ腫れが酷くなり気道や首の動脈を圧迫してしまうと呼吸困難になり命に関わってしまうこともあります。
また喉で出血した血液が気道から肺へ流れ込むと血の混じった痰が出ます
これも重症化してしまうと呼吸困難になり命に関わります。

 

止血が困難な部位

鼻・口腔内

鼻血や口腔内の出血は止血が困難な上に血が止まりにくい部位です。

舌を噛んでしまうことや乳歯から永久歯への生え変わり時期に大きな出血を防ぐために定期補充をしっかりしていくことが大切になってきます。

 

まとめ

 

血友病とはどんな病気なのかお分り頂けたでしょうか?

上記は血友病の表面上の知識であって、この知識をもとに「どんな治療をしていくのか」「どんなことに気をつけて生活していくのか」など薬や主治医・看護師だけではなく保護者、そして患者さま本人が正しい知識を持ち治療していくことが「不自由のない生活を送る」ために大切なこととなります。

また血友病と言っても患者さまによって症状や生活環境は様々です。主治医や看護師、周りの方の協力を得ながら一緒に頑張っていきましょう。