血液製剤変更に向けた製剤の選択と新血液製剤エミシズマブについてお話を聞いてきました。

血液製剤変更に向けた製剤の選択と新血液製剤エミシズマブについてお話を聞いてきました。

先日お話ししていた血液製剤の変更について、半年に1回診察にお邪魔している奈良県立医科大学附属病院へ行きお話を聞いてきました。

奈良県立医科大学附属病院は日本屈指の血友病専門院で、先日インヒビターのない血友病患者さまにも使用可能となったエミシズマブの開発にも携わっている病院です。

そんな病院にいらっしゃる専門医師と直接お話できる機会も少ないので主人と3人で訪問し、製剤変更のお話と新薬エミシズマブについてもお話を聞いてきましたので、その内容をお伝えさせて頂きます。




息子の製剤変更

 

血液製剤に向けての前回のお話はこちらをご覧ください→【血液製剤の見直し】

息子の血液製剤変更にあたり主治医との相談の中で検討をしているのがイロクテイトという製剤。
このイロクテイトについてお話を聞いてきました。

現在使用されている血液製剤の簡単な説明についてはこちらをご覧ください→【血友病の治療方法】

 

アディノベイトからイロクテイトへの製剤変更

【共通点】

・製剤の効果を長くした半減期延長型製剤
→基本週2回の輸注。やはりまだ幼い息子には体力的・身体的に週3回の輸注は難しいという判断です。

【イロクテイトの利点】

イロクテイトは世界的に見てもインヒビターが検出されていないそうです。(生まれたばかりの赤ちゃんへの使用は例外)
・もちろん可能性はゼロではありませんが、息子自身も輸注回数50回を超えインヒビターへの懸念が減少しているので、インヒビターを心配しなくていいと考えます。

息子が血友病と診断を受けた当時はアディノベイトイロクテイトの使用状況は平行線にあったそうですが、2019年2月現在ではイロクテイトの方が評価され主流になってきているそうです。

しかし製剤そのものに大きな違いはなく、重要なのは製剤の効果を得ることができるかどうかで、それには個人差があるため使用してみなければ分かりません。

今回、息子はアディノベイトの使用で大きな怪我・関節障害もなく過ごしてきましたが、製剤本来の効果を得られる見込みが少ないため、イロクテイトへの変更を決断しました

今後イロクテイトの薬物動態を見るため検査入院に入ります。

私たちの期待する結果になるよう祈るばかりです。

 

新血液製剤エミシズマブは乳幼少期に適しているのか

 

エミシズマブの簡単な情報はこちらをご覧ください→【血友病新治療薬エミシズマブについて】

エミシズマブについては何度か紹介してきましたが、乳幼児への現在の使用状況についてお話を聞いてきましたのでお伝えさせて頂きます。

結論から言うと、直接開発に携わった奈良県立医科大学付属病院でも乳幼児への使用は勧めていないとのことでした。

将来使用するにはとてもいい薬だそうですが、乳幼児の使用には問題点・疑問点があるようです。

(1)他の製剤に比べ製剤活性値が10%〜13%程度と低い?

エミシズマブは1週間に1回の投与でいいとされますが、その活性値が10%程だと激しい運動や強い衝撃を受けた際、果たしてどの程度の止血効果があるのか。

遊び盛りの幼少期や部活動が活発な中高生には適さないのではないか?というところだそうです。

(2)エミシズマブを使用しながら出血した際にはどの製剤を使用し治療する?

現在の治療法としては、従来使用されている静注用(静脈注射)の血液製剤で治療を行なっていきますが、その時に懸念されるのがインヒビターで、このインヒビターを発症させない為には従来の血液製剤を体に慣らしておくことが必要だとおっしゃっていました。

インヒビターの発症率は治療回数が増えれば増えるほど減少していくそうで、エミシズマブを使用しながら出血した時に対処できるようにしておくことが大切だということです。

要するに、凝固因子を体に覚えさせようってことですね。

エミシズマブは皮下注射で身体的負担も軽減され魅力的ですが、子どもの将来を守るためには、活動が活発な乳幼児期に適した製剤選びが大切だなと感じ納得させられました。

インヒビターについての記事はこちらをご覧ください→【インヒビターとは?】



家庭輸注への取り組みがスタートします

 

現在息子は2歳で、2020年の春に幼稚園への入園を予定していて、それまでに家庭輸注をマスターしようという課題を頂きました。

「とうとうこの日がやってきたかぁ>_<」というのが率直な感想。
先生の前では淡々と頷いていましたが、そりゃプレッシャーかかりますよ^^;

しかし幼稚園入園前に家庭輸注をマスターしておくことはとても大切な上に、体力的負担も軽減してくれるため、血友病患者さまの親御さまはこのタイミングで家庭輸注を始められるそうです。

家庭輸注ができるようになれば、旅行も心置きなく行くことができますし、出血時にも迅速に対応ができますね。

先生に「1年でマスターできますかね?」と不安を漏らしたところ、

『家庭輸注の際に一番大切なことは子どもの協力です』とおっしゃいました。

みなさんの注射の技術に大差はなく経験して上手くなっていくものですが、そこに子どもの協力がなくては始まらない。
ということのようです。

現在息子は私の膝の上で治療する自ら手を差し出せるという2つの段階をクリアしています。

今後は、【一人で座れるようになる→親は先生の後ろで見守る→親が治療の補助をする】のように段階を踏んで進めていきます。

2019年の夏頃からは私の注射研修が始まる予定です。

家庭輸注は、血友病の治療を進めていく中で親御さんが不安に思われる事の一つだと思います。
どんな感じで進めていくのか、実際取り組んでみた感想などしっかりとお伝えしていきますね( ̄^ ̄)ゞ