ヘムライブラ皮下注射は大泣き大暴れだった!奈良医大での入院の様子や関節の課題

ヘムライブラ皮下注射は大泣き大暴れだった!奈良医大での入院の様子や関節の課題

息子が血友病と診断された当初から注目していたヘムライブラ。インヒビター非保有者にも使用可能となり、大人だけでなく子供にも良い止血効果が出ているとのデータが上がっていることから、幼稚園入園で活動が活発になる息子も使用することになりました。

 

ヘムライブラ使用直前まで不安は残ってしまいましたが、なんとか2泊3日の入院を終えることができました。

今回は、奈良医大で行なったヘムライブラ使用のための入院の様子をご報告させて頂きます。





ヘムライブラ使用のための入院日程

 

私たちの入院の日程は以下の通りです。

 

〜 ヘムライブラ入院日程( 2泊3日 )〜

  • 【 1日目 】ヘムライブラ投与前採血・ヘムライブラ手帳の説明と記載・薬剤調整練習
  • 【 2日目 】ヘムライブラ投与( 医師 )・薬剤調整練習・モデル皮膚パッドを用いて皮下注射の練習
  • 【 3日目 】ヘムライブラ投与19時間後採血(諸事情により18時間後に変更)・ヘムライブラ投与24時間後診察・薬剤調整と皮下注射の練習( 諸事情によりキャンセル )・退院

 

はじめに、ヘムライブラを使用するにあたり薬の作り方と注射の手技を学びました。

薬の作り方はサンプルで何度か繰り返し行い、注射は模型を4回程度、注射針にキャップを付けた状態で息子に左右1回ずつ注射を打つ真似をしました。

 

1週間行なった静脈注射の練習時には、模型と実際の手に何度も何度も繰り返し針を刺しましたが、今回は静脈注射より難易度の下がる皮下注射のため、トータルしても1時間程度の練習で終えました。

 

あとは、外来で先生方の指導・助けを借りながら息子への実践で手技習得していきます。

 

痛みを気にしていた皮下注射は大丈夫だった?

 

前回のブログで思わず不安を漏らしてしまいましたが、心配していた息子の様子はどうだったのか・・・。

 

ヘムライブラ使用前の採血では、「すごいお利口さんだね!いつも頑張ってるんだね!」褒めてもらい得意げに笑顔を見せていたり、充実した遊びスペースに終始楽しそうにしていた息子でしたが、いざヘムライブラを打とうとすると「嫌だー!!」「やめてー!!」と暴れ泣き叫んでいました。

 

私は先生から「投与の様子を見ていてほしい」と指示を受け先生の真横に立っていたため、息子を支えてあげることができませんでした。暴れ泣き叫ぶ息子の様子に思わず涙が出そうになりましたが、グッとこらえ先生の説明を聞きました。

 

「あの時、私の膝の上で注射していたら息子の注射に対する恐怖心は全然違ったかもしれない。先生にお願いしてそうしてあげればよかった。」と後悔しています。

 

 

 

ヘムライブラを使用する上で一番心配していた痛みについてですが、息子は注射の針が刺さった瞬間にピタッと泣き止みましたが、やはり薬が入っていく際に染みるようで再び泣いていました。ヘムライブラ投与18時間後に再び採血を行ったのですが、普段は平気だった静脈注射時にも涙がポロリ。よっぽど怖かったのでしょう。
かかりつけ病院でインフルエンザ予防注射の時はえーんと泣くものの暴れませんし終わった後もケロッとしています。やはり慣れた環境というのは子供にとってとても重要なことなのでしょう。

 

退院後自宅でも「注射嫌だー!!」と泣いていたので、「新しい注射はどんなところが嫌なの?」と聞くと「奈良の病院が嫌だ」と言い、自宅やかかりつけ病院で新しい注射をするのはOKとのこと。

もちろん痛みが1番だと思いますが『奈良の病院は、痛くて嫌な思いをするところ』というイメージがついてしまったようです。

 

これから4週間、奈良医大に通うのですが道中で行きたくないと泣き叫ばれたらどうしよう。色々工夫する必要がありそうです。

 




何が変わった?ヘムライブラとイロクテイト

 

これまで使用していた第Ⅷ因子製剤のイロクテイトと、第Ⅷ因子機能代替製剤のヘムライブラ。薬としては全く異なり、静脈注射と皮下注射という大きな違いもありますが、実際に使用してみてどんな違いがあったのか考えてみました。

 

【イロクテイトの場合】

  • 薬の調合 : 常温に戻す→溶かす→シリンジに移す→空気を抜く→管に薬液を流す
  • 注射部位 : 静脈注射(手の甲・肘)
  • 注射の際 : 何度も血管の位置を確認→針の固定に細心の注意を払う→薬をギリギリまで入れたいが空気にも注意する
  • 止血時間 : 約10分(長い時は20分程にも。次回の注射に配慮し腫れを防ぐためきっちり止血していました)

 

【ヘムライブラの場合】

  • 薬の調合 : 常温に戻す→溶かす→シリンジに移す→空気を抜く→管に薬液を流す
  • 注射部位 : 皮下注射 (上腕・お腹・太もも ) ( 幼児は上腕ですることが多い )
  • 注射の際 : 脂肪を掴み定められた部位に一気に針を刺す。 (血管を狙う緊張感とは全く違いました )
  • 止血時間 : グーッと抑え出血が見られなければ絆創膏。 (常に12%程度の止血効果があるため、製剤の効果がなくなってきた頃に投与して止血する第Ⅷ因子製剤とはまた違う感覚です )

 

 

ヘムライブラ投与2回目から私が皮下注射を行いましたが、やはり緊張しましたね。静脈注射で注射には慣れていると思いきや、やはり緊張しました。ただ、血管を外すという失敗がないので次からはもっとリラックスして行えそうかな?と思います^^

 

ヘムライブラ投与2週目以降のスケジュール

 

ヘムライブラ使用時の副作用等もなく無事入院生活を終えましたが、今後どのような形で投与を進めていくのでしょう。私たちのスケジュールはこのような感じです。

 

〜ヘムライブラ投与スケジュール〜

  • 1週目 ヘムライブラ初回投与入院 ( 2泊3日 )
  • 2週目 診察・外来投与 ( 母投与 )
  • 3週目 診察・外来投与 ( 母投与 )
  • 4週目 診察・外来投与 ( 母投与 )
  • 5週目 診察・外来投与 ( 母投与 )
  • 6週目 なし
  • 7週目 診察・外来投与 ( 母投与 )

※   7週目以降、週2回間隔で投与予定。※   診察日によっては採血も行います。

 

既に2週目のヘムライブラ投与を終えた息子。入院時の注射ではかなり嫌な思いをしたので「行きたくないと言い出すかな?病院に向かう道中、苦労するかな?」と心配していましたが、「今日乗る電車は何色かな?」なんていつも通りの会話をしながら病院へ向かい、待合室や診察室でもお利口にしてくれていて本当に助かりました。

 

心配していた皮下注射は、処置室にあったプラレールのDVDに助けられたこともあり、「痛いー!!」と泣きながらもじっと耐えてくれていました。

7週目からはかかりつけ病院での投与なので、奈良までは少し通うのが大変ですがお散歩感覚で通院できたらいいですね。

 




関節の評価も同時に行なっていきます

 

ヘムライブラを使用する事で血友病軽症に値する状態まで持っていけるとされていますが、血友病の軽症患者様でも歳を重ねると関節に異常が診られる事があるそうで、薬の効果が評価され始めたヘムライブラを使用する上でも関節への影響というのは大きなテーマのようです。

 

そこで今回、ヘムライブラの使用と同時に関節の評価を行なっていくことを決めました。これには、定期的な関節評価に加え、日常の活動や投与の様子を細かく記載していかなければならないので少し大変で手間は掛かりますが、私たちが息子を守る上で一番重要視しているのは血友病がもたらす関節への影響ですし、このデータは今後ヘムライブラの使用を検討されるお子様・ご家族様の参考になるとのことで、このような決断をしました。

 

今回の入院時に行なった関節評価は以下の内容です。

 

〜 関節を評価するために行なったこと 〜

  • 心電図
  • MIR
  • 簡単な関節評価

 

関節で起きている微量の出血はMRIでしか評価することができませんが、『簡単な関節評価』については、自宅でも簡単にできるものだったので、改めてまとめさせて頂きます。

 

幼児がMRIを行うのは本当に本当に大変です。病院で行えば専門知識で正確な診断ができますが、その分、時間も必要です。しかし、今回行なった『簡単な関節評価』であれば、簡易的かもしれませんがゲーム感覚で簡単に行うことができますので、ぜひチェックしてみて下さい^^

 

ヘムライブラで日常が変わる?今後への期待と不安

 

奈良医大の先生方はみなさん揃って「第Ⅷ因子製剤を使うことは殆どない」とおっしゃいます。まだヘムライブラを使用し始めた私たちには信じがたい言葉です。

しかし、関節での出血を防ぎ少しでも投与の回数を減らせるのがヘムライブラの魅力ですし、これまでの患者様のデータと先生方のおっしゃることを信じてヘムライブラを使用していきたいですね。

 

ただし、ヘムライブラを使用しているから大丈夫ってこともありません。これから幼稚園で集団生活に入りますし、いつどこでどんな怪我をするのか分かりません。

 

大事には至りませんでしたが、先日公園で遊んでいた際、鬼ごっこをしている小学生と強く接触し倒されるなんてこともありました。「第Ⅷ因子製剤を使う時は大きな怪我の時」と先生がおっしゃっていましたが、第Ⅷ因子製剤使用時同様、出血を防ぐための事前対策は行い、日頃から緊急時の対応にも備えていきたいと思います。

 

あとは、息子に皮下注射に慣れてもらい、また家庭輸注へ移行できれば、さらにいい環境で治療していけそうです。