血友病保因者として挑んだ次男の出産・産後入院の記録

血友病保因者として挑んだ次男の出産・産後入院の記録

今回のブログは、血友病保因者として挑んだ次男の出産・入院の様子を記録していきます。

血友病保因者と言っても凝固因子活性値には大きく差があり、今回のブログもたった1人の経験にしか過ぎませんが、血友病保因者で妊娠や出産に悩みや不安を持てれている方の勇気や希望になれば幸いです。

 

血友病保因者である私の出産の様子

 

私が “血友病保因者である” と知らず挑んだ長男出産の時とは打って変わって、血友病保因者というリスクを抱えながら挑んだ次男の出産は、妊娠から出産に至るまで様々なことを悩み考え学びました。

赤ちゃんが無事に産まれて来るその瞬間まで不安が無くなることはありませんでしたが、本当にたくさんの方に支えられ見守られ、感謝してもしきれない一生記憶に残る出産となりました。

 

↓第二子妊娠中の様子についての記事はこちらから↓

【血友病保因者である私の妊娠中の様子】

 

血友病保因者である私の出産データ

 

簡単にではありますが、第一子・第二子の出産データの比較をしてみました。

また、第二子妊娠中のみではありますが、私の妊娠中凝固因子活性値についてはこちらの記事をご参考下さい。

【第二子妊娠中の凝固因子活性値について】の記事はこちら

 

 

ー 母子手帳より出産データの比較 ー

 

  長男(3176g) 次男(2998g)
妊娠期間 40週3日  39週1日
分娩経過 頭位 頭位
分娩方法 経膣分娩 経膣分娩
分娩所要時間 13時間4分 7時間20分
出血量 多量(556ml) 中量(375ml)

*分娩所要時間は陣痛開始から計測しています。病院到着から出産までは長男:12時間、次男:4時間でした。*長男・次男共に、会陰切開等の特別な処置は行なっていません。

出産エピソード

 

出産予定日が近づいてくると「いつ産まれてくるの?本当に大丈夫なの?」と何かとメンタルが弱くなりがちですが、中でも1番不安なのは「陣痛」について。

痛みの程度や間隔、「前駆陣痛は?破水から?」など出産の始まりは本当に突然で、心の準備も出来ないまま訪れます。

 

私の場合は、長男・次男同様に「これは陣痛なのか?痛みでは無く違和感程度。でも5分・10分間隔なんだよな・・・」という、「陣痛は痛い!」というイメージから遠くかけ離れた状態から始まりました。

 

長男出産時を思い出しながら、「もう少し痛みが強くなってから病院へ行こうかな?」と考えていましたが、産婦人科の先生から「破水したらすぐに来て。お産が進み過ぎてしまうと適切な処置が取れなくなっちゃうから」と言われていた事を考慮し病院へ確認する事に。

看護師さんから「経産婦さんなので病院へ来て下さい」と指示を受け、早朝5時。主人と、目を擦りながら起きて来てくれた長男に見送られ病院へ向かいました。

 

病院へ到着

 

タクシー運転手さんからも「出産頑張って下さいね」とエールを頂き病院へ到着。

分娩台に上がり、予定通り「B群溶血性連鎖球菌(GBS)」感染予防の為の抗生剤点滴が始まりました。

通常、腕に点滴の針を刺すようですが、私は何度探しても血管が見つからず手の甲にぶっとい針を刺す事に。しかしこれが尾を引く痛さで、陣痛の間のささやかな休息の妨げになってしまうとは・・・。

ちなみに、長男出産時に行った点滴も血管が見つからず何度も刺し直したのですが、これはお産時によくある事なのでしょうか?それとも私がそうゆう体質なのか?

 

【B群溶血性連鎖球菌(GBS)について】の記事はこちら

 

 

なかなか点滴の針を刺せない看護師さんとの間に気まずい空気が流れながらも、まだまだ余裕の私。

看護師さんにも「痛みに強そう。静かな出産になりそうだね」なんて言われながら、持参した朝食を食べていました。

 

そうこうしてると時刻は8時。そろそろ長男の幼稚園の時間です。

幼稚園への送迎役となったパパと「自転車の鍵はどこ?」なんてやり取りをしながら、徐々に陣痛が強くなっていきました。

看護師さんから「午前中には産まれるね」と言われたのは午前9時頃。

長男の時は痛みに耐える時間が長く「もう終わりたい」なんて思う瞬間もありましたが、これが経産婦の特徴なのか、私の想像以上にあっという間に出産を終える事になりました。

 

産まれるまでの最後の1時間

 

陣痛は順調に短く強くなり、それまで出来ていた主人とのLINEも出来なくなっていきました。

長男出産時はお産のサポートを主人にしてもらっていましたが、コロナ禍で立ち会い出産が出来なかった為、サポートは看護師さんにお願いする事に。やはり、「ここ摩って」なんて言えなくて自分で対処する事も多かったですが、それが逆に冷静さを保つポイントになっていたかもしれません。

そして、子宮口が8㎝になった頃、「子宮口が9㎝になったらいきみましょう」と指示を受け分娩室も慌ただしくなり、ぞろぞろと先生方が揃い始めました。

 

痛みに耐えながらも「いよいよ産まれるのか。とにかく無事に!元気に生まれてきますように!!」と自分を奮い立たせていましたが、このまま順調にお産を終えられるのか?赤ちゃんが心配でたまらなかったのが本音でした。

 

 

私も痛みがピークになり、いきみ逃しが辛くなってきて「いきみたいです〜!!」と伝えると「では次の陣痛でいきんでみましょう」と、いよいよ出産のピークを迎えました。

 

出産のとき

 

体勢を横向きから仰向けに変え、いよいよラストスパート。

「痛い〜!!」と叫びながらもどこか冷静だった私は、分娩室にどれだけの先生がいたのか今でも鮮明に覚えています。

 

足元には助産師さんと産婦人科の主治医。両サイドには私をサポートしてくれる看護師さん。

研修生っぽい感じの看護師さんが4人程私の後ろに居て、そして右奥に準備された保育器の周りには長男の主治医をはじめとする小児科の先生方がスタンバイしていました。

平日の午前中という事もあってか、たくさんの先生方がサポートに入って下さり「こんな頼もしい出産があるのか」と、とても心強かったです。

 

 

 

赤ちゃんの頭が見え、間も無く誕生の瞬間。

 

その時、「赤ちゃん大事にね!」と何度も何度も確認する長男の主治医の声が聞こえてきました。

 

「赤ちゃんの頭、少しでも挟まれない方がいい?」

「時間かけず一気にいっちゃった方がいいかな?」

 

そんな確認がされる緊張した場面もありながら「次の陣痛で最後にしましょう!お母さん頑張ってね」という助産師さんからの言葉があり・・・

 

 

もう出産はこれで終わりにしたいと思うほどの強い痛みに耐える事約1時間、ついに次男が誕生。

誕生と共に分娩室は静寂に包まれ、誰もが次男の産声を待ちました。

それに答えるように次男は産声をあげ、保育器へと運ばれていきました。

 

次男は4人の小児科医に囲まれ様々な処置や検査を受けていましたが、その様子を見ていた私に不安は一つもなく、「この病院で出産できて本当に良かった」と心から感謝しました。

 

 

体重や身長などの一般的なチェックも終え、いよいよカンガルーケアの時。

可愛らしい泣き声に、とっても温かいからだ。可愛いお顔は長男にそっくりでした。

 

初めての出産の時は、長男誕生と同時にボロボロに泣き「泣いてたら赤ちゃんの顔見れないよ」と母に喝を入れられましたが、今回は安堵感が強く、これまで抱えていた不安が一気になくなり肩の荷が下りたような感覚でした。

産後エピソード

 

無事次男を出産した後、すぐに私の産後の処置が行われました。

これは退院時に助産師さんに言われた事なのですが、

 

 

「お母さん産後辛かったでしょ。

赤ちゃん最優先でって指示があったからお母さんの方、結構傷付けっちゃって。ごめんなさいね」

 

 

確かに、生々しく記憶に残っているのですが、出産のラストスパートは次男の出口を思いっきり広げる3人の手がありました・・・。産後の傷はもちろん痛かったですが「こんなものだろう」ぐらいにしか思っておらず特に気にしていませんでした。

しかし、多くの出産に携わっておられる助産師さんが言うんだから、結構な傷だったのでしょうね^^;

 

血友病保因者である私の産後の止血経過

 

産後は出血量がなかなか減らず「もう1時間、もう1時間」と待機時間が長引き、約4時間分娩室で休息していました。

お部屋へ移動した後は、お産用パッドを使い切り、持参していた夜用ナプキンも足りず売店で購入しました。

産後の経過観察としては問題なく出産時の出血量も”中量”とされていますが、私自身の体感としては初産に比べ出血が多かったように感じました。

 

ただ子宮の戻りは早く、「赤ちゃんがしっかり母乳を吸ってくれているおかげだ」と看護師さんがおっしゃっていました。

次男の妊娠・出産を終えて

 

今回の出産では本当にたくさんの方に支えられ、たくさんのことを学びました。

 

出産は誰にとっても命がけで何が起こるか分からないものですが、今回、私は自分の身体と向き合い問題を解決するために悩み考え決断をして、一般の方からすれば「大変だね」って思われる妊娠・出産だったかもしれませんが、「知ること」「知っていること」ってすごく大切だなと感じました。

当然、無事に終わるその時まで不安は尽きませんが、この日の為に悩み考えて来たことが逆に安心材料に変わり、冷静にお産に取り組めたと私は感じています。

 

次男は検査の結果、血友病ではありませんでしたが、この先病気をしないという保証はありません。

この先に不安を抱えて子育てしていく訳ではありませんが「今ある命や身体を大切に」。改めて血友病を患う長男から学んだような気がします。

 

そして、何らかの病気や障害を抱えても「逃げず目を背けずしっかり向き合うこと」それが一番大切なような気がします。