【皆様からのメッセージ】血友病の保育園・幼稚園の入園活動に関するアンケート結果(#2)
- 2020.08.31
- 学校・スポーツ
いつも『LIFE~血友病と生きる~』をご覧頂きまして誠にありがとうございます。
この度当サイトでは、これまで血友病のお子様の入園活動を経験された親御様を対象に「血友病における保育園・幼稚園の入園活動に関するアンケート」を実施致しました。
小さなサイトにも関わらず私たちの予想以上である16名の方々にご協力を頂き、血友病と社会との繋がりを改めて考えさせられる充実したアンケートとなりましたこと、心より感謝申し上げます。
【血友病における保育園・幼稚園の入園活動に関するアンケート#1】の記事はこちら
こちらの記事では、今回の任意アンケートにありました【入園活動のエピソードやこれから入園活動に当たられる方へのメッセージ】ついてご報告させて頂いております。
これから入園活動される方にとって励みとなるメッセージもございますので、どうぞ最後までご覧下さい。
アンケートでお寄せ頂いた経験談やメッセージ
今回、皆様からお寄せ頂いたメッセージを受け、感謝の気持ちと共に私なりにメッセージ一つ一つと向き合わさせて頂きました。皆様も、ご自身の考え方や経験談と照らし合わせながらご覧頂き、現在の入園活動の実情を知って頂ければ幸いです。
A様 より。
首都圏在住です。保育園に入園するだけでも楽ではない中でしたが、とにかく沢山の園(認可・小規模・認証・保育ママなど)を見学し、血友病と伝えて難色(少しでも面倒くさそうな雰囲気)を示された園は候補から外しました。患者数の多い病気ではないので、園との共通理解に努めました。 幸い良い小規模園と巡り合い、大変手厚くみて頂けています。息子は保育園が大好きです。これから入園をお考えの方がどうか良い園と巡り合えますように。
A様、メッセージありがとうございました。地域の施設状況にもよりますが、A様のように「候補園から外す」という考え方はとても大切だと思います。病気を抱えていると「こちらから入園をお願いする」という少し消極的イメージを持ちやすいですが、病気を抱えていても選ぶ権利は当然あるはずです。病気への理解に努めながら、お子様が安心して過ごせる園と巡り会えて本当に良かったですし、何より息子様が「保育園が大好き」という事が一番大切で嬉しいことですね。
B様 より。
月齢が上がるごとに活動も活発になり、その都度先生方に説明を行っています。 特別なことはあまりなく、怪我をした場合の処置の仕方、対応の仕方などの資料(イラスト入り)をプリントアウトして渡しています。 最初は先生方もかなり過剰に対応して下さっていたのですが、なるべく他の子と同じように(特別な怪我の場合を除いて)とお願いしています。 入園からしばらくして、遊具に顔面を打ち付け血腫ができたことがありました。なかなか引かず1ヶ月ほどお岩さん状態で心配しましたが、新薬(ヘムライブラ)に変更してからは打撲しても腫れを抑えられています。現在、病気について詳しく説明しているのは先生方とほんの一部の保護者の方なのですが、 年中・年長と上がりお友達との関わり方も変わっていく中で、「どのようにお友達に伝えるか?」「保護者の方にも伝えた方が良いのか?」 そこはまだ模索している途中です。
B様、メッセージありがとうございました。お子様の活動の変化に合わせた出血リスクへの配慮、出血時についての資料作成など、常に園と情報共有されていて、それに対して先生方もしっかり答えて下さっており、園との連携が取れていることが強く伝わってきます。園生活中に血腫ができたとの事でとても心配されたと思います。製剤変更時には悩みや心配も大きかったのではないでしょうか。園生活を安全に送るためには園との連携だけでなく、園生活の中にある出血に関する相談を定期的に主治医と行うことも重要かも知れませんね。また、病気についての説明もとても悩ましい問題です。「病気についての説明はどこまですれば良いのか?」「伝えたことで関係性が変わってしまわないか?」「子供が傷ついてしまわないか?」私もこの問題の答えがまだまだ見つかりそうにありません。
C様 より。
もともと希望していた保育園の姉妹園に来ないかとスカウトされ入園しました。 息子のクラスの担任とは相性が悪く、いつも先生の顔色を伺っていました。それがストレスで転園しようか悩むほどです(ほかのママたちも同じこと言ってました)。 今でも転園先があるならすぐに転園したいぐらいですが、息子もお友達と上手く付き合えていますし、クラスが変わった事で担任の先生も変わり、前担任先生とはあまり関わらなくなり、なんとか耐えている状態です。唯一良いのは家から近いことだけです。
C様、メッセージありがとうございました。日々の生活は担任先生に任されていますから、担任先生との相性はとても大切ですよね。入園前に担任先生とお話できる機会があればベストだと思いますが、そういった機会が設けられない場合も多いと思います。私も入園式当日までどんな方かと緊張していました。現在は担任の先生が変更になり、息子様もお友達と上手く付き合えているとの事。病気についての情報共有という点も含め、息子様がのびのび元気に遊べる環境が保たれますことを強く願っています。
D様 より。
特別だけど特別ではない。幼児園は心配なく過ごせました。
D様、メッセージありがとうございました。「特別だけど特別ではない」まさにこの言葉は、現在の血友病治療を受けている子供達の生活状況を表しているように感じます。制限なく活動するための注射治療は必要不可欠ですが、主治医と相談しながら自分たちの活動に合った製剤を選択し活動できる現在の環境には本当に感謝しかありません。もちろん、適切な治療と同時に常に出血リスクを考えながら活動する事が大切ですが、D様のご家庭のように「心配なく園生活を送る事」これは私たち親にとって大きな目標ですね。
E様 より。
年少で安心したけど年中年長で動きが活発に激しくなるので注意した!
E様、メッセージありがとうございました。やはり月齢が上がると活動が活発になるのですね。我が子は現在年少で、今のところ出血もなく安心しているところがあります。「この感じなら大丈夫かも」と思ったりしてしまいますが、今はまだ幼稚園に慣れていくのに必死でお友達との関わりも完全ではない状態。「まだまだ生活環境は変化していく」と様々なことを想定しながら園と連携していかなくてはなりませんね。
F様 より。
本当は3年保育で通わせる予定だったけど、園から2年保育を勧められました。 入る前は心配で仕方なく不安に押しつぶされそうだったけど、子供にも「これをしたら危ない」という感覚が生まれてきて、入園後には「そんなに心配しなくても大丈夫だったな」ってホッとしました!
F様、メッセージありがとうございました。私も入園活動の際に「2年保育」を勧められたことがあります。私の場合、「3歳児では自分の状態を上手く伝えらず、先生とのコミュニケーションも不十分だから」という理由でした。息子は3歳で入園しましたが、F様のお子様のように「これをしたら危ない」と自ら危険を感じる力が身に付くと出血へのリスクを低減させ親の安心にも繋がりますよね。適切な血友病治療以外にも、子供の成長に合わせた対策を行うことも「安心できる園生活」に繋がっていくのかもしれませんね。
G様 より。
園では打撲した際、アイシングすることを徹底してくれています。年少のときは補助の先生が付いてくれて、毎日園での様子を教えてくれました。アクティブなことが大好きなため、繰り返し運動(とび箱からジャンプする運動)などは、やり過ぎないように気をつけてもらったり、危ないことはしないように目を配ってもらっています。 年中の今は、本人に自覚を持たせるために危ないことはしないように注意をしています。最近では、幼稚園で雨の日に床が濡れている所でジャンプし転倒して頬を打撲してしまったことがあり、痛い思いをして「危ない」という認識をしたようです。 でも、病気を理由に行動制限はせず、他の子と同じように園生活をさせてもらうようにお願いしています。 今のところ、鼻血が止まらないと電話はありましたが、怪我で呼び出されたことはありません。
G様、メッセージありがとうございました。活動を制限しない中でもお子様に合った注意点を上げ、それに沿った対策を取る事はとても大切だと感じました。そして、園での様子を教えてもらう事は親にとって強い安心に繋がります。それが血友病に関する事ではなく何気ない園での様子であってもとても嬉しいものですね。血友病を抱えている中で「身を以て危険を知る」という経験は大きな出血リスクがあり、頬を打撲された当時はG様も心配されたと思います。危険な経験を望む事はありませんが、危険察知能力の低い幼い子供達には「危ない事」を学ぶきっかけにもなるのかもしれません。そして鼻血問題。我が子はまだ鼻血の経験がないのですが、やはり男の子に多い症状で血友病なら尚更、止血に時間がかかってしまうのでしょうか。園からの電話にはドキッとしてしまいますよね。私も大きな怪我での連絡がない事を常に願っています。
H様 より。
今はまだプレスクール前の親子教室に通っている段階(人気な幼稚園なので、そこから入っておかないと病気に関わらず入園出来ない)で、病名とCVポートが入っている事は伝えてありますがまだ詳しくは話しておらず、入園まで2年かけて親も一緒に通いながらゆっくり理解して貰おうと思っています。病気が理由で入園を断られる事はありますか?と聞いたところ、「注射などの対応はこちらでは出来ないが入園を断る事はない」と見学の時に言われました。聞いた事のない病気を抱えていると知るとギョッとされて、扱いにくい子かな?と先入観を持たれがちですが(SNSなどで他の入園活動をされている方を見るとそこで話を詳しく出来ずに遠回しに断られる、という流れが多い気がします)、たとえばアレルギーなどのように日頃気をつけた方が良い事さえ理解してもらえれば、園にとっても未知の怖い病気ではなくなると思っています。
H様、メッセージありがとうございました。無知だった私は、H様の幼稚園のような入園へのシステムを知らなかったのですが、親も通園しながら子供のことを知ってもらえる事は、親にとっても幼稚園にとってもプラスになる事だと感じました。プレスクールでなくても、都合が合う時に園庭開放などを利用し顔を知ってもらうだけでも園との繋がりができ、病気についての話がしやすくなるかもしれませんね。血友病がもっと理解されやすい環境になれば良いなと日々願っていますが、「血友病は受け入れてみればそれほど心配なかったと感じる園や学校が多い」と以前お話しさせて頂いた先生がおっしゃっていました。それでも、受け入れてもらえるまでの壁が厚い事は事実です。そこをどうやって乗り越えて行くかが私たち親の大きな課題ですね。
I様 より。
私の場合は特別だったかもしれません。知り合いの保育園に入れてもらいました。病気がわかる前に希望をだし、わかったあとは他の園のほうが何かあった時の保険があるからと言われたが、「他の子供と変わらない」「何かあれば私達が責任とる。園を責めない。」という強い気持ちで、説得して入れてもらいました。常に、先生と話をしてどうしていくかを考えながら、今に至ってます。誰もわからない不安があるけど、園も家族も子供が楽しく元気に過ごせることを常に考えています。来年は小学校なので、まだまだ不安は続きますが、大丈夫という強い気持ちで、皆さんも一緒に頑張っていけたらと思います。
I様、メッセージありがとうございました。「何かあれば私が責任を取る。園を責めない。」という気持ちで入園をお願いした親御様は少なくなく私もその一人です。園としても「全てに責任を負えない」というのが正直なところであり、我々のようにそれを覚悟で入園させている一般のご家族はどれだけいるでしょうか。大きなリスクを背負って入園しているようにも感じますが、園生活での不安を解決するために常に園と連携しているので、その責任や覚悟は決してマイナスなものではなく、むしろ園との繋がりを強くする前向きなものだと私は考えます。そして「大丈夫という強い気持ち」を持つ事で更に前向きに行動できる力に変わる気がして勇気付けられました。
J様 より。
一年半前に断られた保育園(長男の通ってる園)に行かなくて本当によかったです笑。断られたら無理に行くことない。「絶対受け入れてくれる人はいる」と強く言えます。断られた時はこの世の終わりかのようにめちゃくちゃ泣いていました。立ち直るのにも時間はかかりましたが、幼稚園保育園たくさん調べ色々見学にも通いました。4月から通っている保育園は、面談のときから印象もよく安心感しかありませんでした。実際通わせ始めて数カ月だった今でも、この先生達なら大丈夫という安心感があるので、仕事中いい意味で血友病がある次男のことを忘れています。もちろん小さなケガから大きなケガもするでしょう。これからも人一倍お手間もかけるでしょう。この先生達に見てもらいたいから私は仕事してるといっても過言ではありません。きっと受け入れてくれる園はあります。子供が楽しめそう!この先生たちならお願い出来そう!と親である自分の直感を信じてください!
J様、メッセージありがとうございました。もし現在、辛い経験をされている方が読んで下さっていれば「絶対受け入れてくれる人はいる」の言葉を力に変えて頂きたいですし、私もそう強く言えます。断られた時は本当に辛く、次の一歩さえも怖くなってしまいますが、それでもお子様のために強く心を持って活動してほしいです。J様の仰る通り、違和感を感じる園に無理に入園する必要はなく、入園活動していく中で親御様が園に対して感じることを大切していければ、それが入園後の園生活を安心して送る事に繋がっていくかも知れません。
メッセージを通して感じた事
メッセージをお寄せくださった皆様、本当にありがとうございました。それぞれの環境で頑張っておられる皆様からのメッセージは、血友病と向き合っておられる方の心に強く響いていると思います。
今回お寄せ頂いたメッセージを拝見していく中で、治療状況・生活環境が違いながらも共通点があったように感じました。
それは「みんなと同じように」という考え方です。
私たちも同様の考え方で、園生活で特別な活動制限はしていません。現在、主流になっている幼少期からの定期補充療法で出血回数を減らせるようになり、安心して生活を送れるようになったことがこのような環境や考え方を生み出していると推測します。
それと同時に、「出血時の対応や出血させないための工夫を凝らしている」という点も共通点であり、皆さん園との連携に努めておられます。
病気を理解してもらう事は簡単ではなく、入園する側も受け入れる側もお互いに不安を抱えている中で、「どうすればその不安を解決できるのか」「お互いにできる事は何なのか」など、相談し合える環境づくりが安心できる園生活に繋がっていくのかも知れません。
それでも、園との連携が難しかったり不安を抱え込んでしまった時は、主治医やSNSでの相談も問題を解決する重要な手段となるはずです。
入園活動や園生活には大きな不安を抱えるかもしれません。挫けてしまう時もあるかもしれません。
そんな時に今回のアンケートを参考にして頂き、もう一歩前へ進むきっかけにして頂けたら幸いです。
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