幼稚園探しで経験した、血友病について先生方が不安に思うことは?

幼稚園探しで経験した、血友病について先生方が不安に思うことは?

日本に約6,000人の血友病。私たちは3歳児入園を目指し6つの幼稚園で病気の説明を行ってきましたが、「血友病」という言葉を知っていたのはたった一校。その一校も「体が弱い」という程度の認識でした。

そんな血友病について全く知識のない先生方が血友病の子供を受け入れるに当たりどのような不安を抱くのか?

 

今回は、『私たちが幼稚園探しをしてきた中で先生方に尋ねられた事』を記載し、『幼稚園入園にあたり本当に大切なことはなんだったのか?』

私の目線ではありますが、これから園を探される方の参考になれば幸いです^^




血友病に対しての質問と私の回答

 

他の子に比べて血がたくさん出るの?

「血が止まりにくい」と聞くと「血がドバドバ出る」というイメージを持たれるようです^^;
『そのようなイメージを持たれる方が多いですが、血の量や流れるスピードは健常者と同じです。日常にある擦り傷での出血も他の子と変わりませんが、止血が不十分だった場合、負傷部が腫れたり熱感を持ったりという症状が現れます。』と病気への恐怖心を少しでも和らげるように私は回答しました。

 

擦り傷も注意した方がいいの?

血友病の症状を聞き怪我に対して敏感になるのは当然だと感じます。
『走っていて転けた時にできるような擦り傷は薬を使用していなくても止血されることが殆どです。園生活の時は薬で止血効果を高めてるので、他の子と同じように対応して下さい。怪我の数時間後、負傷部を痛がっている様子が見られれば連絡を下さい。』と他の子供と同じ対応で大丈夫な怪我もあることを私は伝えました。

 

体の中で起こる出血の症状は?

血友病において体の中で起こる出血は重大な出血に繋がることもあるので、その症状や対応はしっかりと共有しておく必要があると思います。

特に頭部は命に関わる出血に繋がるので最も気を付けたい部位ですが、その出血はMIRなどの精密検査をしなければ分からないケースも多いです。「頭痛・吐き気・意識障害」など症状はありますが、それをすぐに確認できない場合もあるので、『頭部を負傷した時はすぐに保護者や病院への連絡・相談をして下さい』と私は伝えました。

また、関節の中で起こる出血も血友病治療で重要視される出血です。『関節内で出血をし負傷した場合は強い痛みに襲われる為、歩行が困難になりますだた、遊びに夢中になり痛みを忘れたり堪えてしまう幼児もいるようです。それでも「負傷部を何度も抱える」「足を引きずりながら走っている」など、普段とは違う何かしらのサインが見られます。その際は、安静にできる遊びに誘い患部を冷却し保護者や病院へ連絡・相談して下さい』とこちらも連絡・相談を徹底したいこと伝えました。

 

今まで命に関わるような出血は経験されましたか?

どのようなことが危険な出血に繋がるのかを確認されたいんだと思います。私たちの場合、『重大な出血に繋がるような怪我を経験したことはありませんが、頭部を打ち不安で病院に駆け込んだことはありました。血友病治療において大切なのは『迷ったら薬を打つ』と主治医に教えられているので、現在でも不安に感じた際は治療を行うようにしています。それが重大な出血を防ぐための大切な治療法だと考えています。』という回答をしました。

 

幼稚園で出来る事・出来ない事

 

看護師や加配の配置

これは公立と私立によって大きく異なります。公立は市が運営しているため、加配や看護師の制度を利用しやすい環境と言えます。しかし、私立は個人が運営するため、費用や人手不足から断られることが殆どです。私たちが伺った大学付属幼稚園にはもともと看護師が配置されていましたが、どの幼稚園でも「加配・看護師」というワードが出るだけで煙たがられるというのが正直な印象でした。

 

お子様一人に付きっ切りはできません

私たちは、「子供が怪我をしないように見てほしい」とは考えていません。あくまで「みんなと一緒」が私たちのスタンスなのですが、預かる側としては怪我を恐れているので「しっかり見守らないといけないのか?」という感情が生まれるのでしょう。保育環境を十分理解していることを伝えられれば先生方の負担も軽くなるかもしれません。

 

怪我をした際の応急処置ができる

血友病の子供を預ける上でやって頂きたい大切なことの一つである「応急処置」。幼稚園での怪我は日常茶飯事なので、実は応急処置に慣れていらっしゃいます。保冷剤も用意されており、職員室などで安静にして処置を行っているようです。「他の子より少し長めに冷やしてあげて下さい」と伝えれば、十分な応急処置が可能かと思います。

 

怪我の把握を常にはできません

子供が怪我をした際、「どこで・どのように・どんな強さで」と怪我の程度で処置の判断を行う私たちですが、幼稚園で起こる怪我はその判断が困難になります。「わかる範囲で結構ですので、どのように怪我したのか教えてほしい」と伝えましたが、「努力はしますが、常に状況把握はできません」との事。

これは幼稚園見学に行って感じたことですが、子供たちは先生のことが大好き。先生は子供たちからたくさん声をかけられています。「遊具には必ず先生が付いています。」とおっしゃいますが、子供に声をかけられればその場を離れることだってあります。子供に話しかけられてもないがしろには出来ませんから、他の子供が見えないことの方が多いでしょう。怪我の把握に関しては「見れていません」と回答されることが多いと諦めた方が気が楽かもしれません。

 

薬の保管

薬の保管方法については公立と私立で若干の差があるかもしれません。公立で伺った際は、かなり厳重な感じがしましたが、私立は「普通の冷蔵庫で良ければ」という感じでした。薬は製剤と注射キットでワンセットになりますが、製剤のみ保管の方が安心というような声もありました。




他の子供たちへの配慮について

 

私たちは園生活の中で息子に「保護帽子」を着用させようと考えており、そのことを幼稚園に伝えてきました。そこで問題になるのが、他の子供たちへの対応です。子供達は純粋で思ったことを口にしてしまいます。「どうして帽子かぶってるの?」そんな声がたくさん上がった時、子供たちにどう対応しますか?

私たちは病気を公表することになんの抵抗もありませんが、ある幼稚園ではこんなことがあったようです。

 

3歳で幼稚園に入園したAくんは生まれつき子指がなく、そのことを他の子供たちから指摘されていました。Aくんは心を塞いでしまい、お友達とうまく遊べなくなってしまいました。すると今度は、親の間でAくんについての話が影でされるようになり、それを知ったAくんの母親は孤立してしまいました。

 

この間、幼稚園でもなんらかの話し合いは行われていたようですが、このような結果になってしまったとのこと。Aくんは年中さんの頃にはお友達と元気に遊べるようになったようですが、このお話を伺った幼稚園からは「お母さんも様々なことがあることを覚悟してください」と言われました。

 

病気を伝える伝えないはそれぞれ考え方が違いますし、伝えるという選択にも様々な伝え方があります。幼稚園の先生方は子供たちのことを良く理解していますので、先生方の意見も取り入れて、「誤解を招かないこと・間違った知識を入れないこと」これがものすごく重要だと感じました。

 

血友病の子供を預ける上で本当に大切なことは?

 

6つの幼稚園を見学し入園を断られたり、親身に話を聞いて頂いたりと様々な対応を見てきて、私が最終的に幼稚園に求めたことは・・・

 

  1. 何かあったり不安を感じたらいつでも連絡して下さい
  2. 怪我をした時は冷却したり安静にさせて下さい(判断に悩んだらいつでも連絡下さい)
  3. お互いに信頼し情報共有できる環境を作っていきたい

 

血友病に対し気をつけて欲しいのは「怪我をした際の対応のみ」でその判断の全てを園任せにはしない事。親として常に息子のことだけを見てきた私たちでさえ治療の判断に迷ってきたのですから、突然病気を受け入れる他人が治療の判断を行うことはとても難しく不安ですよね?

もちろん、病気の話をしているので最低限の理解と体制を整えて頂きたいですが、その前に「親である私たちは、先生方の不安を取り除くことがとても重要」ではないでしょうか?

 

園活で病気に関する様々な話をしてきましたが、その多くは園生活の中で解決していくことが殆どです。「何が起こるか分からない、その時どのように解決していくのか?それを幼稚園と連携して解決できる環境を作ること」それができる幼稚園に息子を入園させたいと私は感じました。

 

 

「しっかりと園を選びたい立場にありながら、それを理解されず受け入れてもらえない。」そんな辛い状況もありましたが、幼稚園の内面を見て園探し出来た事は、病気を抱えている者の特権なのかもしれません。園に受け入れる姿勢があるかないかは肌で感じられます。お子様だけではなく親御様との相性も大切です。知名度が低く理解されにくい病気ではありますが、あまり悲観的にはならず「自分達に合う園を選ぶ」こちらが主体の園活をしてみてはいかがでしょうか^^