現在使用されている血液製剤の種類と今後期待される新治療薬についてのお話。
- 2018.11.10
- 基本情報
現在、血友病A・Bともに多くの血液製剤が販売されていてます。
どの製剤をどのように使用するのかは、血友病患者さまのライフスタイルや製剤の効果・インヒビターの有無などにより選択が異なります。
運動量やラフスタイルが変わりやすい乳幼少期には製剤変更もよくあることなので、どのような効果の製剤があるのか簡単に説明させて頂きます。
また今後が期待される血友病新治療薬『エミシズマブ』についても簡単に記載させて頂きます。
現在使用されている血液製剤の種類
2018年現在は、標準型製剤と半減期延長型製剤と呼ばれる血液製剤を使用し血友病の治療を行っています。
この2つの大きな違いは製剤の効果で、従来使用されてきた標準型製剤は基本週3回の投与でしたが、薬の効果(半減期)を長くした半減期延長型製剤が発売されたことにより週2回の投与となりました。
定期補充や家庭輸注での治療が確立された今、半減期延長型製剤が主流となっています。
しかし半減期延長型製剤が必ずしも良いという訳ではなく、標準型製剤もまだまだ新しいものが開発されており、その製剤選択は患者さまのライフスタイルや治療状況によって選択されていきます。
血友病の新治療薬のエミシズマブの開発
私たちもお世話になっている奈良県立医科大学付属病院様が開発された血友病の新しい治療薬が話題となっています。
息子が血友病だと診断を受けた時から情報は入っていたので、私たちもとても期待している治療薬です。
インヒビターを発症している患者さまには既に使用されており、効果も実証されています。
新血友病治療薬エミシズマブ
【特徴】
・エミシズマブ(商品名:ヘムライブラ)
・ヒト、動物由来の原材料が使用されておらず、感染症のリスクがさらに低減された。
・皮下注射のため治療の利便性が良い
・輸注回数が週1回程度で済むようになる
現在の血友病治療は全て静脈注射でその身体的負担は大きく、家庭輸注・自己注射の導入にも時間がかかってしまいます。
それが皮下注射でしかも週1回の投与で良いとなれば・・・
これは血友病治療に大きな変化をもたらしてくれますね。
エミシズマブの今後の課題
2018年現在、インヒビターを発症している患者さまには使用され効果を認められていますが、インヒビターのない患者さまへの効果はどうなのか。
早ければ2019年の年明けにはインヒビターのない患者さまも使用可能になるという情報もありますが、息子のような低年齢の患者さまは使用可能なのか?
どの治療においても乳幼児の治療データは少ないのが現実だと思いますし、成人させている方から順に配布されるのが一般的なため、息子が使用できる日はまだまだ先になりそうですね。
また、残念ながら1例にアレルギー反応もあったそうです。
乳幼児に限らず新しいものはまだまだデータが少ないため、使用するにあたりそのリスクは常に慎重に考えなければなりませんね。
新治療薬を目の前に感じる期待と不安
海外では血友病の遺伝子治療も進められており、血友病Bに関しては遺伝子治療の治験が始まるかもという情報も耳にしたことがあります。
血友病と診断され目指すところは遺伝子治療【根治】というところでした。
その手前に【皮下注射】という目標があり、それが今まさに実装されようとしているわけですが、新しいものにはまだまだ未知の部分も多く、幼い息子にはまだまだ手が届かないのかなぁと思うところもあります。
「早く治してあげたい」と強く思い、将来の血友病治療に期待はしていますが、今現在の治療が問題なくされているのであれば、焦り急ぐ必要もないのかなぁと感じます。
現在週2回の通院治療で息子の手の甲には注射痕の列ができています。
血管が細いため、失敗し何度も針を刺し直すこともあります。
それが週1回の皮下注射になり自宅での治療が可能になれば、息子の負担も減り時間にも余裕が生まれます。
しかし、いつ自分のところにやってくるか分からない治療に期待して待っているだけではなく、その日の為に今やるべきことをしっかりすること、今現在の治療としっかり向き合っていくことが最善の治療ではないのかと感じます。
これは血友病と診断を受けてから意識してきたことではありますが、新薬を目の前に改めてそう感じます。
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