インヒビターとは?血友病のインヒビターについて情報まとめ
- 2018.11.17
- 基本情報
血友病治療の中でもっとも意識し注目していかなければならないインヒビター。
私は血友病治療の説明でインヒビターのことを聞いた時には、
「インヒビターが発生したら治療できなくなるの?」
「インヒビターはいつでも発生してしまう恐れがあるって言うけど、どうすればいいの?」
「解決策はあるのだろうか?」
と不安になりました。
息子はインヒビターの発生経験がありません。
発生してしまった時に冷静に対応できるよう、みなさんと一緒に勉強していきたいと思います。
インヒビターとは
私たちの身体は、細菌やウイルスが侵入してくると、それらを攻撃する抗体を作ります。
これは人間の身体の正常なシステムです。
血友病の場合、身体に足りない凝固因子を補充していきますが、その凝固因子を身体が敵とみなし抗体を作ってしまうことがあります。
これがインヒビターです。
インヒビターが発生してしまうと製剤の効果を得られなくなってしまい、止血することが難しくなり、治療の妨げになってしまいます。
基本的には、主治医との相談で治療方針が決定されると思いますが、患者さま本人、また患者さまを支えていく立場としても気にかけていかなければならない情報ではないかと思います。
また、最近開発された新薬では、血友病Aのインヒビターが発生してしまった患者さまへの治療が可能とされています。
インヒビターが発生しやすいときは?
インヒビターは常に考えていかなければならない存在ですが、もっとも発生しやすいとされる時期、場合があります。
治療経験のない患者さまが、補充療法を開始して間もない時期
あくまで目安ですが、約20回目ぐらいまでは慎重に気にかけたいとされています。
息子も週1回の補充療法を開始して20回目の頃に、インヒビターの発生がないことを確認した上で、週2回の補充療法へと切り替えました。
出血して症状が悪化している時や、手術の際に集中的に製剤を輸注する時
息子の血友病治療は、このインヒビターのリスクが高いとされる状態で始まりました。
血友病を調べる血液検査の翌日、止血がうまくいかず腕がパンパンに腫れてしまいました。
検査結果は血友病Aと診断されましたが、腕の腫れも酷かったため、すぐに治療が必要となり、そのまま入院し4日間補充療法を行いました。
そのうちの2日間は補充療法と同時に、第Ⅷ因子の活性値とインヒビターの検査を行いました。
今回はインヒビターの発生はなく、無事治療を終えることができました。
このように、止む終えず処置を行う場合もあります。
インヒビターが発生してしまったら?
従来の補充療法とは異なった治療法を行なっていきます。
インヒビターが発生してしまった時は、主治医と相談し治療法を決定します。
中和療法
第Ⅷ・Ⅸ因子を補充してもそれほどインヒビターの量が増えない患者さまには、いつもより多めに製剤を補充し、発生してしまったインヒビターを中和させ、残った製剤で止血をしようという治療法です。
バイパス療法
第Ⅷ・Ⅸ因子を補充すればするだけインヒビターの量が増えてしまう患者さまには、第Ⅷ・Ⅸ因子以外の血液凝固因子(バイパス製剤)を使用し、普段とは違うルートで止血をしようという治療法です。
免疫寛容(めんえきかんよう)療法
定期的に輸注をすることで第Ⅷ・Ⅸ因子に体を慣らして、免疫による攻撃をやめさせ、インヒビターのない状態にしようという治療法です。
インヒビター保有者が使用可能な新薬について
現在はインヒビターが発生してしまった患者さまが使用可能な新薬が開発されています。
新しい製剤なので、まだまだ治療情報が少ないですが、皮下注射な上に製剤の効き目が長い。
とても魅力的な製剤です。
非インヒビターの患者さまにも使用可能か治験も始まっています。
息子も使用できる日を心待ちにしています。
血友病治療とインヒビターは常に隣り合わせです
インヒビターのリスクが高いとされる場面や、新薬の情報を書かせて頂きましたが、治療回数を20回超えていても、100回目にインヒビターが発生してしまうかもしれません。
また、2018年11月の現時点では、新薬に対するインヒビターは検出されていませんが、
(残念ながら1件、アレルギー反応が出ているようです)
今後多くの患者さまが使用し、どこかでインヒビターが発生してしまうかもしれません。
また息子の時のように、インヒビターの発生が高くなるとされながら、止む終えず治療を行わざるをえない状況もあります。
インヒビターへのリスクを常に考えながら、主治医との相談で、適切な治療をすることが重要になってくるのではないでしょうか。
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