ヘムライブラ変更直前の不安と期待。導入スケジュールやヘムライブラの課題について。
- 2020.02.03
- その他
先日、奈良医大へ診察へ行き「ヘムライブラ導入への最終確認」を行ってきました。
幼稚園生活を安心して送るために使用を検討したヘムライブラ。まだ日が浅い薬だけに不安や疑問点は多く、何度も何度もかかりつけの主治医と話し合ってきました。途中、『ヘムライブラ微粒子混入の問題』でヘムライブラ導入の延期などもありましたが、いよいよヘムライブラ導入の日が近づいてきました。
奈良医大の主治医に、「ヘムライブラ微粒子混入について」も伺ってきましたので、ヘムライブラ導入前の心情と導入スケジュールと共に紹介していきます。
ヘムライブラ微粒子混入について
10月中旬、私たちの耳に届いた「ヘムライブラ微粒子混入」。奈良医大は中外製薬から発売されたヘムライブラの共同研究に携わっているため、より詳しい情報をお持ちかな?と奈良医大の先生に伺ってきました。
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今回混入していたのはシリコンで、現在シリコンはあらゆる分野あらゆる場面で使用されています。ヘムライブラを製造する過程、注射キットにもシリコンは使用されていますが、ヘムライブラはシリコンを吸収しやすい性質であるために今回このような問題が起こりました。
今回、検出されたシリコンはごく微量のため人体に影響はないと考えられています。奈良医大に来られている患者様で最長6年間ヘムライブラを使用されている方がいらっしゃいますが、これまで問題が起こったことはありません。
しかし、「問題がない」で終わらせるわけにはいきませんので、奈良医大としては「シリコンの濃度を少しでも抑えること」を要請し、中外製薬からも「努力します」と回答がありました。
中外製薬より微粒子混入の報告があってから約3ヶ月。薬の状況としては変わりなしといったところでしょうか。ヘムライブラを使用する者としては早く解決して欲しい気持ちはありますが、まだまだ時間はかかりそうなので、使用するならば「人体に影響はない」という言葉を信用するしかなさそうです。
ヘムライブラ導入スケジュール
ヘムライブラ導入のために奈良医大で3日間の入院スケジュールを組みます。息子の健康状態の確認・採血・ヘムライブラの勉強・注射の模擬練習などを行い、2日目にヘムライブラを投与します。
ヘムライブラ導入の初回5回は血中濃度を上げるために、週1回の間隔で投与していきます。特に、1回目投与後はまだヘムライブラの効果を得られていないため、2回目投与までの1週間はこれまで通り第Ⅷ因子製剤を定期輸注するそうです。
2回目投与後にはヘムライブラの効果を感じられるそうなので、第Ⅷ因子製剤とは一旦さよなら。初めは怖くて苦戦した静脈注射も今では名残惜しく感じていますが、「緊急投与」なんてことがないように薬だけに頼らない、出血させない生活を心がけていきたいですね。
ヘムライブラ導入目前にして不安に思うこと
「3歳の息子が幼稚園でみんなと同じように安心して生活できるように」と使用を決めたヘムライブラ。先日、奈良医大で導入スケジュールが組まれ改めて実感すると共に、「本当にこの選択で間違っていないのか?」という不安を持ってしまいました。
薬への期待はもちろんしていますが、息子に痛く辛い思いをさせてしまうだろう・・・。
1歳半に静脈注射で血友病治療を始めた頃はまだまだ赤ちゃんで、「ママー!!」と泣き叫ぶことしかできず、それを繰り返しながらも次第に注射への恐怖心はなくなっていきました。
今では「今日は注射なの?右?左?」と恐怖心を一つも感じさせない程になりましたが、肘での注射は断固拒否。経験が少なく怖いと感じるからでしょう。
ヘムライブラは皮下注射なので、静脈注射に比べ投与する側の技術は軽減されます。しかし、刺した瞬間だけが痛い静脈注射とは違い皮下注射は薬の投与中も痛みを感じます。インフルエンザの予防接種を想像して頂ければわかりやすいでしょうか?昨年末に息子もインフルエンザワクチンを投与しましたが、やはり痛がり泣いていました。
これまでの第Ⅷ因子製剤で関節も痛めることなく過ごしてきたのだからこのままでもいいのではないか?
そんな不安が頭を過ってしまいました。奈良医大では淡々と話を聞いていた私ですが、奈良医大に行った翌日、もう一度かかりつけ病院の主治医とお話がしたいと急遽診察を入れてもらいました。
ヘムライブラ導入は決めていますが、「少し背中を押して欲しい・・・」
良い環境で治療が受けられるこの時代の贅沢な悩みだと分かっていますが、子供のことになるといつ何時も不安は尽きません。
ヘムライブラの課題
ヘムライブラは第Ⅷ因子活性に換算して約12%程度の活性値を保ち、血友病の重症度でいうと『軽症』に値するとされています。重症の息子が少ない投与回数で軽症にまで持っていけることは本当に嬉しいことですが、軽症でも成長を重ねると関節を痛める傾向があるというデータがあるようで、これがヘムライブラの課題となっています。
全ての血友病軽症患者様が関節を痛めているということではないそうですが、まだまだ日の浅い薬であるヘムライブラは血友病治療の大きなテーマである関節への影響についてしっかり診ていく必要があるようです。
奈良医大では、ヘムライブラを使用する血友病Aのインヒビターを保有しない12歳未満の小児を対象にした臨床試験を実施おり、ヘムライブラの安全性と関節に与える影響の評価を行なっているそうです。
これまでのヘムライブラの使用効果もこちらの臨床試験より情報を頂いており、どうしても小児のデータが乏しくなってしまう新しい薬のデータを頂けたことは、息子にとってとても有難いことでした。これから息子もヘムライブラを使用して行くので、私たちも今後ヘムライブラの使用を検討する患者様のお役に立てればと考えています。
息子が前向きに治療に取り組めるために
さあ!新しい薬で新たな治療が始まります。通い慣れた病院ではなく、知らない先生ばかり。不安だらけで「嫌だ!いつもの注射がいい!」と泣き訴えてくるでしょう。私もそんな息子の姿を見て「もうやめます!」と言いたくなってしまいそうなのが想像できますが、家族で頑張って行くために、頑張ったらトミカ買うよ大作戦を発動させます。
実は、すでに伝えてるんです。「今度から始まる新しい注射頑張ったらトミカ買ってあげるよ」って^^;ダメでしょうか?( 笑 )
通院で静脈注射を頑張っていた頃、この作戦は効果絶大でしたが、家庭輸注に移行し注射になれた頃、節約のため作戦中止となりました。これをまた発動させ、治療に前向きに取り組んでもらえるようにしたいと考えています。
本人は「どうして注射しているのか?」なんて考えたこともないと思いますが、これから幼稚園生活に入って友達との違いに少しずつ気付いて行くでしょう。その時に、注射が「嫌い」ではなく、どんな形でも「前向きなもの」であることが大切なのかなと思います。今回のヘムライブラ導入に不安はありますが、息子にはその不安を感じさせないよう、しっかりと側で支えていきます。
またブログにて、ヘムライブラ導入の様子を報告させてください^^;
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