血友病の保因者である私の怪我・月経・貧血などの出血症状についてのお話
- 2020.05.11
- 保因者・出産
※今回の記事では、私の女性特有の症状について、どなたにも内容を理解頂けるよう直接的な表現で記載しています。私の経験が誰かの何かの支えになればと赤裸々に告白したということをご理解頂けますと幸いです。
私の息子は、血が止まりにくい疾患である『 血友病 』を患っており、定期的に薬の投与をすることで日常にある様々な出血リスクから体を守っています。
血友病は遺伝疾患であり、母親である私も血友病の原因となる遺伝子が息子と一致し、『 保因者 』であると診断されました。(※血友病の発症には遺伝だけでなく、突発性のものもあります。)
前回は、保因者の出血リスクの中で最も高いとされる「 出産について 」の私の経験談をお話ししましたが、今回は「日常おける出血症状について 」をお話ししていきます。
保因者の血液凝固因子活性には大きな個人差があり、その差によって出血症状は異なります。
こちらの記事内容は、『凝固因子活性48%』のひとりの保因者出血症状としてご覧頂き、これから保因者と向き合われる方の参考となれれば幸いです。
保因者と月経
保因者の出血リスクの中に「 月経過多 」が挙げられ、その特徴が以下となります。
【 月経過多の特徴 】
- 月経が7日間以上続く
- 日常生活に支障が出るほどの出血量
- レバーのような大きな血の塊がみられる
- 出血量が多い日は、ナプキンやタンポンが1時間も持たない
月経過多は保因者に多くみられる症状の一つですが、実際、月経は他人と比べる機会がなく自分が月経過多であることに気づかないケースも多いようです。私も、保因者だと診断されるまでの月経で苦労した記憶はなく「これが当たり前」という認識でいました。
しかし、月経過多による貧血が疲労感や集中力の低下を招き「 QOL( 生活の質 )」 を低下させている可能性があるとされ、保因者の抱える精神面についても近年注目されています。
保因者である私の月経
私の月経の始まりは中学2年生の頃。友達の中には小学5年生から始まった子もいて、「自分はまだなの?」と不安を抱えていたことを記憶しています。
初経の目安は11〜14歳とされ、15〜18歳の頃には排卵や月経が安定すると言われているので、この基準からすると平均的な初経だったということになりますね。
月経の出血量について
月経過多の特徴とされる「日常に支障が出るほどの出血」を感じたことはありませんが、約7日間とされる月経の中で、最も出血量が多いのが初めの2日間。現在では夜用ナプキンを日中に使用していますが、部活動で激しい運動をしていた中高生時代はタンポンも使用していました。
この頃は、練習に夢中でナプキン交換のタイミングを逃してしまったり、短パンで練習することが多かったので万が一に備え念のためにタンポンを使用していました。なのでスポーツしていなければタンポンを使用する必要のない程度の出血量だったように記憶しています。
月経日数に関しては、7日間を過ぎることもあります。しかし、出血量としてはおりものナプキンでもいけるようなごくごく微量がダラダラ続くイメージです。それが毎月ある訳ではありませんが、月経が終わったのかよくわからないこの状態にストレスを感じてしまいます。
月経痛について
初経から出産するまで月経痛のなかった私ですが、初めての出産を終えた次の月経から痛みが伴うようになりました。
痛みを感じるのは出血量の多い2日目ぐらいまでですが、動けなくなるほどの痛みを感じることもあります。しかし、その痛みが1日中続く訳ではありませんし、痛みを感じない月もあるので薬の服用はしていません。
腰痛もありますがそれも1〜2日で治るので、毎月の事としてただ治まるのを待つばかりといった感じです。
これまでの怪我と出血症状
小学生時代はよく外で遊んでいて、山に登ったり秘密基地を作ったり鬼ごっこをしたり、男女関係なく結構アクティブに遊んできました。
体を動かすことに自信を持っていましたがおっちょこちょいな性格で、自転車で2.5m程の崖から転げ落ちたり、山から滑り落ちたりとヒヤっとする場面が沢山ありました。
小学3年から高校3年まで続けたバレーボールでは、突指を数え切れないほど繰り返し、試合があるからと応急処置だけで済ませた人差し指は今も曲がったままです。試合中には選手同士でぶつかり、宙に浮いた私は後頭部を打って一瞬意識を失ったこともありました。それもまたすぐに立ち上がり試合を続行。あの時は本当に怖かった^^;
他にも記憶にない怪我は沢山あると思いますが、どれも大事には至らず、現在も生活への影響は全くありません。
また止血が困難とされる抜歯についても、歯の生え変わり時期も親知らずの抜歯の際も健常者同様の処置を受け問題なく止血回復されました。
貧血について
「保因者である私の出産について」でも少しお話ししましたが、中学の頃から何度も意識を失い倒れてしまうことがありました。
しかし、これまでの血液検査等で《 貧血 》を疑われたことはなく、私自身としては「 激しい運動後に起きる症状 」や「 疲れ 」「 精神的不安 」から起きているのもと考えてきました。
月経時の出血量に関して特別多いと感じたことはないですが、月経過多だったとしたら、過去にあった貧血症状は保因者としての症状だったのかもしれません。
保因者である私のアザについて
血友病の出血の特徴として「 アザ 」が挙げられますが、血液凝固因子活性48%の私にも身に覚えのないアザがあります。
それは現在でもあり、今では自分が保因者であると認識しているので「保因者の症状」として捉えていますが、過去をさかのぼれば「 身に覚えのないアザに不安を覚えていた時期 」がありました。
身に覚えのないアザへの不安
※とてもお恥ずかしい話ですが、家系に血友病歴がなく様々な病気に関する知識もなかったとご理解頂き読み進めてください。
私は高校3年生まで活発に運動をしており、擦り傷やアザは当たり前だったのでアザに対して気にかけることは一度もなかったのですが、成人してスポーツをしなくなった頃、ふと自分の体にできるアザに気付きました。
アザができるのは血友病と同じく「 膝下 」に多く、初めは「 寝ている間や気付かないうちにどこかで打ったんだろう 」と思っていました。しかし、打ち付けることの少ない内腿にもアザがあることに気づき、それが一度だけではないことに徐々に不安を覚えていきました。
私は「身に覚えのないアザ」とネット検索し調べてみると、【 大丈夫 】というものもあれば【 命に関わる重大な症状】というものもあり、怖くなった私は検索することを止め、なかったことにしてしまいました。
血友病の家族歴があり保因者という言葉を知っていれば、何かしらの検査を受けていたでしょうが、何も知らずただただ怖くなってしまった私は自分の胸の内からも「アザへの不安」を消してしまいました。
保因者としての歩み方を考えてみる
私が保因者と診断された際、主治医から「保因者外来の受診」を勧められましたが、「今後出産を考えた際にお受けさせて下さい」と未だに保因者外来は受けていません。
もちろん「これまで出血に困らなかった」という経験があっての判断ですが、もし自分が保因者だと認識し思春期を過ごしていたら、出血に対してだけでなく精神面でも多くの不安を抱えていたでしょう。
保因者外来では出血に対する診察だけでなく、月経過多による疲労感や集中力の低下・恋愛・将来への不安など、保因者特有の悩みの相談も受けて下さいます。
これまでの経験により自分自身の月経症状や身に覚えのないアザ・貧血の対処法は知っていますが、妊娠や出産に対する保因者としての不安はとても大きなもので、それを自分一人で解決できそうにはありません。
私も保因者外来の必要性を感じたら受診しようと考えていますし、もし今、保因者として悩みを抱えている方がいらっしゃったら、今すぐでなくても、そうゆう心の寄り所があるんだと頭の片隅に置いておくだけでも心の支えとなるかもしれません。
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