実体験から知る血友病の認知度の低さと病気への理解について

実体験から知る血友病の認知度の低さと病気への理解について

日本で約6,000人に1人とされる「血友病」と向き合って1年半。これまで、医師以外の方と血友病についてお話しする機会はが何度かありましたが、その度に「血友病の認知度の低さ」を痛感してきました。

そんな中私は、息子の幼稚園入園を目前に『血友病をどこまで周囲に知らせるのか?』という問題について考えることがあります。

 

今回は、私が経験した『血友病の認知度の低さ』とそこから考える『病気への理解』についてお話しています。




実体験から知る血友病の認知度

 

【私たちの身の回りの血友病認知度】

  • 血友病という言葉を知っていた人・・・1人
  • 血友病がどんな病気か理解していた人・・・0人

※自分たちの家族・保健師・消防署勤務員・幼稚園の先生など約30名からとったデータです。

 

血友病について初めて医師以外とお話ししたのが保健師さんでした。これは、小児慢性の手続きのため訪れた時のことでした。

 

保健所は血友病を知らない?

 

小児慢性の手続きのため保健所を訪問。保健所の方に教えてもらいながら小児慢性の書類へ記入していきました。

 

病名欄記入の際、「なんというご病気ですか?」と聞かれ「血友病Aです」と返答。小児慢性に当てはまる難病リストを確認されているようですが・・・「血友病はないですね」って^^;
確かに難病リストに「血友病」という文字はなく、「他の名前で記載されているかもしれないので血友病Aと記載して提出しましょう」ということになりました。

正直「大丈夫?」って思いましたが、私自身も息子の診断で血友病を知ったばかりだったので、他の呼び方とかどの分野に部類するとか説明に自信がありませんでした。

 

当然、申請は問題なく通りましたが、小児慢性をはじめとする様々な医療申請に直接関わっている方でも「血友病」を知らないという事実に驚きました。

 

息子の担当とされる保健師さん2人とも血友病について話しましたが、2人とも「血友病という病気を初めて聞いた」とのこと。私たちの住む地域の人口は多い方だと思うのですが、ここでも血友病の認知度の低さを教えられました。

 

血友病へ理解が深まらず幼稚園入園に苦労しました

 

息子を幼稚園へ入園させるため6つの幼稚園に見学に行き、血友病についての説明を行いました。

ここでも血友病の認知度は低く、私は独自にプリントを作成し先生方に渡していました。「治療しているから大丈夫ですよ」「困った時はいつでも連絡下さい。すぐ対応します。」という不安を煽らない内容でしたが、理解してもらえず遠回しに断られるようなこともありました。

 

血友病の知識がないため『病気』という言葉だけが前に出てしまい、 ” 何かあった時のリスクだけを考えている” そんな印象を受けました。

「幼稚園落ちた」病気が理由?血友病患者を持つ母親の園活とその結果。

 

血友病への理解を深める為には?

 

「健常者と変わらない生活ができる」とされる現在の血友病治療を受け生活していく中で、どのようにして他人に血友病を理解してもらえばいいのでしょうか?

「治療してるから大丈夫なんでしょ?」なんていう簡単な言葉で片付けられても嫌ですし、過度に心配されるのも違う気がする・・・。私は、他人に頼るのが苦手なタイプで普段は一人で考え行動してしまいますが、自力では乗り越えられない壁ももちろんある訳で、そんな時に手を差し伸べてもらえないのはやはり辛いことです。

 

強く訴え人の心を動かそう

 

先日受けた市の防災講演会で、訪問看護の方がこんなことを言っていました。

 

「私たちは医者じゃない。災害時、自分たちにだって家族がいて、家族を犠牲にしてまで他人を助ける余裕はない。だから私たちは事前にできる災害対策について考えました。」

 

正直、「難病の子供を抱える親の目の前でそんな突き放すような言葉よく言えたなぁ^^;」と驚きましたが、全くの正論だと思います。更に、こんなことも言っていました。

 

「これまでサポートしてきた方は、ご家族自ら強く発信し行動してきた方ばかりです。」

 

この言葉、裏返せば「私たちは訴えられなければ行動しない」という意味になりますよね。これも助けて欲しいと願う者からすれば少し冷たく感じますが、これについては私自身、身をもって体験してきました。

 

行動しなかったから私はこうなった

 

以下、私が行動しなかった故に起こった経験談です。

 

【 訪問看護を利用できなかった 】

主治医からの提案で訪問看護のことを知りましたが、輸注したい曜日が人手不足で断られました。その後、私は訪問看護の必要性を重要と感じていなかったので輸注日を変更したり、こちらから再度お願いすることはなく、訪問看護センターからの連絡も来ることはありませんでした。

 

【 私と担当保健師の関係性 】

診断当初に担当だった保健師さんは頻繁に連絡を下さり、ご様子伺いや幼稚園入園の相談にのって頂きましたが、その方が異動になり担当者が変更。現在の保健師さんは一切連絡がありません^^;引き継ぎがきちんとされたのか、血友病が治るか治らないかも知っておられず不信感を抱きました。しかし、幼稚園入園について助けて欲しくて何度か相談に上がりました。その際は親身に話を聞いて下さり、様々な提案を頂き「幼稚園にも一緒に行きますよ」と言って下さいましたが日程が合わなかった為同行できず。その後、保健師さんからのアクションは何もなく、頼りなく感じた私は自分で幼稚園探しをすることに決めました。

入園が決まったことも伝えておらず、一切連絡も来ておりません^^;

 

もっと私がアクションを起こし「助けて」と訴えていれば上記の内容は変わっていたでしょう。手を差し伸べて欲しいなら、理解して欲しいなら「頼るな!訴えろ!」。これは私が大きな壁にぶち当たった時の大切なワードとなりそうです。



 

病気を周囲に知らせることについて

 

これまで病気のことについて他人と話した際に強く感じたことは、「他人が他人の病気を理解することは簡単ではない」ということ。同じ血友病でも環境が違えば苦労も違い、それを安易に理解できるとは言えません。それは他の病気も一緒で「共感できても理解はできない」のではないかと私は感じました。

病気への理解が深まらなければ「間違った知識や解釈」が生まれる可能性もあり、時にそれは患者を傷つけてしまう原因となってしまうかもしれません。

 

そのようなことを考えると、「幼稚園生活をしていく中で誰に病気のことを知ってもらえばいいのか?」「知らせる必要のない人は誰なのか?」その線引きは非常に難しく感じます。

 

また将来、息子が血友病とどう向き合っていくのか?

健常者と同じ生活をしているのなら病気を隠したい気持ちだって生まれるかもしれません。逆に、病気を知っておいて欲しい友達だって出来るでしょうし、息子が生活しやすい環境を作っていく為には、親も病気と周囲の関わり方について十分に配慮していく必要があるかもしれません。