被災後3日を乗り切る!血友病治療薬を守る災害時の停電対策を考えよう。

被災後3日を乗り切る!血友病治療薬を守る災害時の停電対策を考えよう。

先日、市より「小児慢性特定疾病講演会」の案内を頂き参加してきました。

講演会内容は「医療を要する児の災害への備えについて」で、クリニックの院長先生・訪問看護師さん・市の危機管理室・市の福祉企画課の方々がいらっしゃいました。

 

私は以前行われた “全国ヘモフィリアフォーラム ” で災害の備えについて学び、災害時の対応について色々考えていたので、直接自分たちの住まいの情報を伺えるこの機会は大変有り難いものでした。

その中で、皆様にも共有できる点がいくつかあったのでご紹介していきます^^

【全国ヘモフィリアフォーラムで学んだ災害時対応について】の記事はこちら

 

緊急時、血友病患者様の体を守ることを目的とした『命を守るラバーバンド』を作成しました。こちらの記事も併せてご覧下さい。

血友病患者の『命を守るラバーバンド』オリジナルグッズ作りました!

 




被災後、病院には頼れない!!

 

公演の冒頭、クリニックの先生はこうおっしゃいました。

 

『被災後3日間は自助と共助に尽きます!人や病院には頼れません!』

 

“全国ヘモフィリアフォーラム” で災害について学んだ際、「災害時は自分たちでなんとかしなければならない」と強く感じていましたが、ここまで、しかも病院の先生が「病院は頼れない」とはっきりおっしゃったことに驚くと同時に、やはり人に頼っていてはダメなんだと改めて実感しました。

 

停電だけで病院はパンクする

 

今回の公演でポイントとなっていたのが『停電時の対応』でした。

災害時に起こりやすい停電。病院にとって停電は致命的で、もちろん発電機は準備されていますがその対応で手いっぱいになってしまい、外来での受付が困難になるそうです。ましてや災害により多くの方が病院へ集まるので受け入れができない状況も考えられます。

 

【 講演で紹介されていた実例 】

講演されたクリニックの先生は小児の患者様を多く診ておられ、その多くは在宅で人工呼吸器や酸素ボンベを使用している方々でした。

ある在宅診療の患者様は災害により自宅が停電。人工呼吸器を使用中でいつ電気が通るか分からない状況に不安を持ちクリニックに相談されました。

それを受けた先生は通院先の病院へ「コンセントだけ貸してくれませんか?それ以外のことはお母様がされますので」と相談。しかし、すでに病院の廊下には沢山のベッドが並んでいる状況で、「コンセントを貸すだけで受け入れはできない」と返答されました。

患者様の健康状態も良いことから一晩だけ自宅で様子を診ることに。しかし翌日、停電復旧には3〜4日かかるとの情報が入り、患者様は通院先の病院へ入ることになったそうです。

 

 

命に関わるかもしれないこの状況で病院を頼れない不安。親御様はどれだけの思いで一晩を過ごされたことでしょう。

 

先生は今回の被災状況を受け、『被災時、病院は予想以上に混乱する。小さな個人院での受け入れは困難だ。』ということを痛感したとおっしゃっていました。

 

皆様は災害緊急時に行われるトリアージをご存知ですか?負傷者に負傷レベルをつけ処置の順位をつけるものですが、負傷が酷くてもそこに「処置が簡単で助けられるか」という点も加えられるそうなのですが、災害時の病院受け入れにもこのトリアージは使われるそうです。

現在息子はかかりつけ病院で「24時間受け入れ患者」に認定してもらっていますが、災害時にこれが適応するかどうか?とても怪しいところですね。

 




血友病患者としてできる災害対策は?

 

今回の公演では特に、電源を必要とする小児の被災時対応に重点的でしたが、停電が私たち血友病患者にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

電源を必要とする治療 = 在宅人工呼吸器等を使用していて、停電が起きると命に関わる状態が考えられると多くの方が想像するかと思います。一見、「停電は血友病に重大な被害をもたらさない」と考えてしまいそうですが、自宅で血友病治療薬をどのように保管されていますか?多くの方がご家庭の冷蔵庫を使用していませんか?

停電した時、真っ先に気になる冷蔵庫。「冷凍食品が溶けちゃう!」「お肉がダメになっちゃう!」それと同時に、大切な血友病治療薬の保管温度を保てなくなってしまいます。

 

血友病治療薬の保管には適正温度が定められており、病院からも冷蔵庫で保管するよう指示されている方がほとんどだと思います。冷蔵庫で保管していたものを常温に戻すと、その薬の使用期限はさらに短くなったりととても繊細な管理法が求められます。

ヘムライブラにおいては最高気温40度まで耐えられますが、現在の日本において気温40度は稀であっても保管状況によっては不適切な温度に達することも考えられます。

 

停電は大きな被害を受けていなくても起こり得ます。いつ復旧するか分からない状況も考えられるため、その時どう対処するのか考えておくことが必要ではないでしょうか?

 

停電時の電源確保を学ぶ

 

今回の講習会で、停電時の電源確保についていくつか例が挙げられていましたのでご紹介していきます。

 

☆自家発電機

在宅人工呼吸器等を使用されている小児には日常生活用具としての補助制度や、訪問看護ステーションや在宅療育支援診療所が発電機を準備するための費用を補助する制度があるようです。

冷蔵庫を稼働させるのにどの程度の発電機が必要なのか勉強不足ではありますが、自家発電機と検索すればネットでの購入が可能なようですね。

 

☆共用

こちらも自家発電機になりますが、「自家発電機を持っていてお借りできそうな場所を前もって探し協力を求めておく」というものです。病院・近所の福祉施設・公的機関など。今回の講習で、在宅呼吸器使用中の停電で病院受け入れが困難に。近所の福祉施設に1週間お世話になりおじいちゃんおばあちゃんのアイドルになっていたなんていうご家庭の例が挙げられていました。

子育て支援センターは福祉避難所に指定されていることが多く、自家発電機が備えられている所が多いようです。

 

☆ハイブリット車を使用

電源確保にハイブリット車を使用するなんて案も挙がっていました。

『災害対策マニュアル 〜 電源確保を中心に 〜 』という国立成育医療センターのHPに車からの電源確保について詳しく記載されています。その他、災害時の電源確保についていろいろ記載されていますのでチェックしてみて下さい。

 

 

その他の電源確保

 

今回電源確保について学び、私なりにどのようなものがあるのか調べてみましたのでご紹介していきます。

 

☆ポータブル冷蔵庫

車のシガーソケットから電源を確保できるAC・DCアダプターの2電源対応のものは温度調節が可能なものもあり、価格も安価なものだと1万円程度。アウトドアでも使用できるように、おしゃれなものがたくさんありました。

セットガスを使用するものもあり、こちらは電源が必要ないので車がなくても使用可能ですね。しかし、セットガス式は保冷ではなく冷却というものが多く、凍らせてしまうようなものが多い印象でした。

他にもコードレス保冷庫・ソーラー充電クーラーボックスなどなど、調べると結構いろいろ出てきました。想像以上に種類があり、大きさや値段もピンキリだったので購入を検討するときはよーく調べる必要がありそうです^^;

 

☆家庭太陽光発電・蓄電池

これは究極の選択とも言えますが、家庭用太陽発電機を取り入れるなんて案もありました。

ソーラーパネルを設置すると何百万という費用が掛かってしまいますが、これだけ備えれば薬どころか生活の安心も確保できますね。普段は電気代の節約にもなりますし、これから家を建てるぞ!なんていう方は検討してみてもいいかもしれませんね(笑)

大型ソーラーパネルとまではいかず、家庭用小型太陽発電機であればお手頃ですね。ただし、小型のものだと一般的な家庭用冷蔵庫を動かすには電力が足りないかもしれません。小型冷蔵庫を準備する必要があるかも?

 

さっと調べてみましたが、災害時に役立つ情報がたくさんありました。備蓄って一昔前は「食料」のイメージが強かったですが、今は自分たちで災害を乗り越えるための生活用品等の備蓄が進められていますね。キャンプ用品が災害時にも役立つので、趣味の延長で災害時対策に繋げれば一石二鳥になりそうですね^^

 




 

停電時の冷蔵庫について

 

ここまで停電時、冷蔵庫が機能しなくなった場合を想定して考えてきましたが、停電したからといって慌てて対処する必要はありません。短時間の停電であれば使用している冷蔵庫でそのまま保管することができるようです。では、最後に停電した時にするべき冷蔵庫の対応を調べてきましたのでご紹介していきます^^

 

停電後2〜3時間は温度を保てます

 

停電すると慌てて「保冷剤を冷蔵庫に移動しなくちゃ」「冷凍庫に食材を移動しとこう」なんて考えてしまいそうですが、冷蔵庫は2〜3時間、冷凍庫は4時間ほど温度を保てるようです。ただし『絶対に扉を開けない』これが絶対条件です。

その後、緩やかに温度が上昇し始めるので、それから保冷剤を冷蔵庫に移動させるなどの保冷対策を始めると良いようです。

停電時、慌てず対応できるよう普段から対策しておくことも大切なようです。

 

 

普段からできる冷蔵庫の停電対策

 

  • 冷蔵庫内の詰めすぎは冷えない原因となります。冷蔵庫内に余裕を持たせ、効率良く冷気が循環するようにしておきましょう。節電にもつながります。
  • 逆に冷凍庫は、隙間なく詰まっているほうが保冷効果が高く長持ちします。食材だけでなく保冷剤も使用して、停電が長引いた時に使用できるようにしておきましよう。

 

我が家の冷凍庫にも保冷剤をたくさん入れてあります。クーラーボックスも準備し、短時間ではありますが薬を守れるよう対策しています。

 

今回の講習を受けて

 

今回は停電対策が主でしたが、大切な薬を守るために必要なことでありとても考えさせられ勉強になりました。

病気を持ち様々なハンデは抱えてはいますが、病気だから学べたことはたくさんあります。今回この講習に参加したのも大切な息子を守るためですが、息子が病気を抱えていなかったらここまでの知識は入っていなかったでしょう。

 

停電時にどうする?なんてこともそうですが、「息子が大きな怪我をした時どうするか」「今頭を打ったらどう対応するか」なんてことを私はよく考え、頭の中でシュミレーションしています。そこまで普通はしませんよね?^^;

でもそれって悩ましいことではなくて「子供助ける方法を知っている」というお得な知識だと私は考えています。

 

異常気象などで甚大な被害が増えている今だからこそ、皆さんも家族を守るためのお得な知識を取り入れていきませんか^^